2010 Fiscal Year Annual Research Report
チャ樹における芳香族香気成分の生合成とそれらの生態学的役割の解明
Project/Area Number |
10F00101
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 修治 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZIYIN Yang 静岡大学, 創造科学技術大学院, 外国人特別研究員
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Keywords | 1-phenylethanol / Camellia sinensis / チャ花 / acetophenone / biosynthesis |
Research Abstract |
【背景・目的】チャ(ヤブキタ)花の主要香気成分である1-phenylethanol(1PE)の発散と蓄積、生合成経路を明らかにすべく以下の研究を推進した。 1.1PEの立体化学 開花に伴ってL-Pheの減少にともない1PEとその前駆体と考えられるacetophenoneが増加した。また花や葉に蓄積される1PEにおいてはR-1PEが主要であるが開花が進むにしたがってR/Sの比率が低下した。一方、花から発散される1PEにおいてはR/S=1/1である。このことから、acetophenoneから1PEへの還元はR-選択的であるがR-1PEはacetophenoneへと容易に変換されるものと考えられる。 2.Acetophenoneから1PEへの還元反応の立体選択性 重水素標識acetophenone(d5-acetophenone)を基質としてNADPH依存性還元酵素をチャ花から精製している。d5-Acetophenoneは主としてR-d5-1PE,へと変換された。 3.1PE配糖体の解析 チャ花の1PE配糖体を分析したところ、β-glucopyranosideとβ-prieveroside(未同定)が見いだされた。それらの多くはR-1PEをアグリコンとしていた。 【今後の研究】L-Pheから1PE,acetophenoneへの酵素的変換経路の全貌を明らかにするとともにそこに関わっている酵素機能の解明、花におけるR,S-1PEの生態学的役割を解明する。
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