2011 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスの異種宿主間伝播に関与する細胞因子の研究
Project/Area Number |
10F00109
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 礼人 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANZOOR Rashid 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 外国人特別研究員
|
Keywords | インフルエンザウイルス / ポリメラーゼ |
Research Abstract |
オルソミクスウイルス科に属するA型インフルエンザウイルスは様々な鳥類および哺乳類に感染する人獣共通感染症病原体である。その宿主域を決定する因子についてはこれまでに数多くの報告がなされている。それら因子のうちのいくつかは、宿主域のみならずウイルスの病原性をも決定することが知られている。しかしながら、ウイルスが宿主細胞へ侵入した後、それら因子がどのような宿主因子と相互作用し、どのようにウイルスの宿主域や病原性に関与しているのかを説明する知見はほとんど見られない。本研究は、これまで解明できなかったインフルエンザウイルスポリメラーゼ蛋白質と宿主因子の相互作用に関する様々な新しい知見を得ることを目的とする。 FLAGタグをC末端あるいはN末端に付した組換えインフルエンザウイルス(HK483およびHK486株)ポリメラーゼ蛋白質(PB2、PB1およびPA蛋白質)を単独で発現するプラスミドを293T細胞に導入し、可溶化後、抗FLAGタグ抗体ビーズを用いて免疫沈降した。SDS-PAGEで展開した結果、幾つかの宿主由来蛋白質バンドが確認された。これらのバンドを資料分析によって解析した結果、宿主蛋白質であるHsp70およびhnRNP等であることが判明した。これらの蛋白質はポリメラーゼと相互作用する因子である可能性が高い。共焦点顕微鏡を用いた観察によって、ポリメラーゼとこれらの宿主蛋白質は細胞内で共局在することが明らかとなった。さらに、siRNAを用いてHsp70をノックダウンした細胞(293TおよびHera細胞)では、インフルエンザウイルスの増殖が抑えられることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開始当初に目的として掲げた以下の内容に関して、概ね達成されているから。 (1)インフルエンザウイルス(HK483およびHK486株)ポリメラーゼ蛋白質の発現系を確立する。 (2)それらの蛋白質が相互作用する宿主因子を同定する。 (3)それらがウイルスの増殖にとって重要であることを証明する。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)クロスリンカーを使って、さらに他の宿主因子を同定する。 (2)鳥の細胞を用いて、同様の実験を行う。 (3)hnRNPについて、ウイルス増殖における役割を解析する。
|