2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腫瘍免疫レパトアのプロテオミクスプロフィーリング
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10F00121
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VITALY Kochin 札幌医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | MHCクラスI / 抗原掲示 |
Research Abstract |
CD8+T細胞は標的細胞に提示されるペプチド/MHCクラスI複合体を特異的に認識し、これを傷害する。提示される抗原ペプチドは内在性に発現した蛋白に由来する分解産物であるが、これらのペプチドがどのようなメカニズムでつくられ、またどのようなペプチド群(レパートリー)を形成しているのかは未だに不明な点が多い。本プロジェクトではマススペクトロメトリーを利用し実際に提示されてくるMHCクラスIペプチド群の網羅的解析を行う。 当該年度では、 1)HLA-A/B/C抗体(W6/32)産生ハイブリドーマよりモノクローナル抗体を精製濃縮し、ペプチド/HLAクラスI複合体を回収するための親和カラムを作成した。 2)約1.5x10^9個のヒト細胞株K562またはHLA-A24を安定発現させたK562/HLA-24より細胞抽出液を準備し、親和カラムを用いてペプチド/HLAクラスI複合体を回収した後、弱酸で結合ペプチドを遊離回収した。 3)分子量3kDaフィルターを通した遊離ペプチドをRP-HPLCによりフラクション化し、それぞれのサンプルをマススペクトロメトリー(ABI/4800plusMALDI_TOF/TOF)によりシークエンス解析した。 4)このうちK562/HLA-24からは17個、K562からは3個のペプチド配列を得ることが出来、これらはいずれも重複しない配列を有していた。HLA-A24結合モチーフを利用した親和性解析の結果、前者の17個のうち53%がHLA-A24に対する高親和性を示し、後者の3個はいずれも親和性を示さなかった。 以上より、HLA-A24に提示されたペプチド群を回収しラージスケールでマススペクトロメトリー解析するための実験系が確立できたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画通りにプロジェクトが進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の一部変更を予定している。これは当教室において、ヒト大腸癌細胞株より癌幹細胞および非癌幹細胞それぞれ由来の細胞株クローン樹立に成功したことによる。前者は後者に比べ高い癌幹細胞含有比率を維持しつつ細胞増殖し、今回確立した実験系に必要な約1x10^9個相当の癌幹細胞を得ることが可能となった。すなわち、これらのペアを利用して癌幹細胞および非癌幹細胞それぞれに提示されているHLAクラスI抗原ペプチド群の網羅的解析を研究計画に組み込みたい。
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Research Products
(2 results)