2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腫瘍免疫レパトアのプロテオミクスプロフィーリング
Project/Area Number |
10F00121
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
コーチン ビタリー 札幌医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | MHCクラスI / 抗原提示 / 腫瘍抗原ペプチド |
Research Abstract |
CD8+T細胞は標的細胞に提示されるペプチド/MHCクラスI複合体を特異的に認識し、これを傷害する。提示される抗原ペプチドは内在性に発現した蛋白に由来する分解産物であるが、これらのペプチドがどのようなメカニズムでつくられ、またどのようなペプチド群(レパートリー)を形成しているのかは未だに不明な点が多い。本プロジェクトではマススペクトロメトリーを利用し実際に提示されてくるMHCクラスIペプチド群の網羅的解析を行う。 当該年度では、 1)HLA-A24特異抗体産生ハイブリドーマよりモノクローナル抗体を精製濃縮し、ペプチド/HLAクラスI複合体を回収するための親和カラムを作成した。 2)約1.5×10^9個のHLA-A24発現するヒト大腸癌細胞株(SW480,Colo320,HCT-15/b2m)より細胞抽出液を準備し、親和カラムでペプチド/HLAクラスI複合体を回収した後、弱酸で結合ペプチドを遊離回収した。 3)分子量3kDaフィルターを通した遊離ペプチドをRP-HPLCによりフラクション化し、それぞれのサンプルをマススペクトロメトリー(ABI/4800plusMALDI_TOF/TOF)により網羅的にシークエンス解析した。 4)SW480,Colo320,HCT-15/b2mからは重複のない186個、コントロールとして用いたHLA-A24発現しないヒト大腸癌細胞株HCT-116からは5個のペプチド配列を検出した(2013年3月現在)。実験の再現性は約80%程度であり、また既知のHLA-A24結合モチーフを利用した親和性解析では前者のペプチド群が有意に高く、後者はいずれもHLA-A24結合モチーフを欠損していた。この結果は、本システムにより高い精度でがん細胞のHLA-A24に提示されるナチュラルペプチドレパートリーを網羅的解析可能であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画通りにプロジェクトが進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト腫瘍細胞に提示されるペプチド・MHCクラスIレパートリーを網羅的に解析するためのシステムを日本人に最も多い遺伝子多型であるHLA-A24において樹立し、本プロジェクトにおける目標を達成した。今後はこのシステムを応用し、CD8+T細胞応答を惹起する免疫原性を有したナチュラル抗原ペプチドのスクリーニングを行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Efficiency of G2/M-related tumor-associated antigen-targeting cancer immunotherapy depends on antigen expression in the cancer stem-like population2012
Author(s)
Takashi Mori, Satoshi Nishizawa, Yoshihiko Hirohashi, Toshihiko Torigoe, Yasuaki Tamura, Akari Takahashi, Vitaly Kochin, Reona Fujii, Kondo Toru, Mark I. Greene, Isao Hara, Noriyuki Sato
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Journal Title
Experimental and Molecular Pathology
Volume: 92
Pages: 27-32
DOI
Peer Reviewed
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