2011 Fiscal Year Annual Research Report
爆発的元素合成・第2ピーク領域に関わる中性子過剰核のベータ崩壊
Project/Area Number |
10F00201
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西村 俊二 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 先任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LORUSSO Giuseppe 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | r過程 / ベータ崩壊 / 中性子過剰核 / 半減期測定 / 核構造 |
Research Abstract |
大強度ウランビームを利用した非常に中性子過剰な原子核のベータ崩壊実験を行い、爆発的重元素合成(r過程)のメカニズムを調べることを目的とする。 ベータ線検出器:生成した中性子過剰な原子核を両面ストリップ型半導体検出器に埋め込み、β崩壊に伴い放出される低エネルギーβ線を効率的に測定する必要がある。原子核の埋め込み位置を正確に測定するために、非常に広いダイナミック・レンジ(10keV-5GeV)を持つ高性能前段増幅回路の動作試験を行った。総チャンネル数が600チャンネルにもおよび、前段増幅回路、整形増幅回路、波高測定回路の読み出し回路が不足している。そこで、低価格の前段増幅回路の開発、抵抗分割型回路の開発・導入を行った。その結果、原子核を埋め込む位置、エネルギー損失の測定が可能となった。また、原子核の埋め込みに伴うベータ線測定回路の不感時間(~10msec)の問題を解決するために、前段増幅回路の動作保護回路の導入テスト、前段増幅回路のフィードバック抵抗の値を1GΩから1MΩに変更することにより、不感時間を0.1msec以下に抑えることに成功した。12月の大強度^<124>Xeビームを利用した^<100>Snのテスト実験において、この読み出し回路の性能を評価している。さらに、高いビーム強度でのベータ崩壊実験を実現させるために、分割数を1桁増やした半導体検出器の開発・導入を行った(1枚当たりの分割数:256を2,400にする)。 ガンマ線検出器:ガンマ線の検出効率を大幅に改善する必要がある。そこで、ドイツGSI研究所に設置されていた大型クラスター型ゲルマニウム検出器(RISING)を理研RIBF施設に移設した。このプロジェクト(EURICA)により、ガンマ線検出効率を1桁改善可能とした。2012年度の^<128>Pd領域のベータ崩壊実験に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベータ線検出器の読み出し回路の開発は完了した。非常に高い埋め込み頻度においても対応可能にするために、読み出し回路の工夫に加え、1mmの位置分解能をもつ両面ストリップ型半導体検出器の導入を行う。ガンマ線検出に関しては、理研にある5台のクローバー検出器と比較し、1桁も高い検出効率(15% at 662keV)を特長とするクラスター型ゲルマニウム検出器の導入を行った。これにより、想定以上に高精度ベータ核分光が実現可能となった。2011年度には、1桁高いウランのビーム強度(0.3pnA→3pnA)が達成された。以上、本研究課題の目的である^<78>Ni,^<110>Zr,^<128>Pd,^<100>Sn領域のベータ崩壊実験を実施するために装置の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を遂行する上で、RIBF加速器を利用した実験の実施が必須となる。プロボーザルの承認はされているが、この4年間に3日と非常に少ないビームタイムしか消化できていない。新規に立ち上げたEURICAでは、欧州からのクラスター型ゲルマニウム検出器を利用した実験プロポーザルが13件あり、EURICAの使用期間である2013年6月末に全てを消化することが期待されている。2012年度には大強度のウランビームを利用したベータ崩壊実験のキャンペーン実験が実現できると考えている。
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Research Products
(5 results)