Research Abstract |
東南アジアでは,農村から大都市への人口移動が加速しているが,この社会増加に自然増加(出産数の増加)が加わって,過剰都市化が大きな社会問題に浮上している.とくにプライメイトシティ,すなわち首位卓越都市では,急激な人口集中が交通混雑,土地の細分化,水資源の不足などの都市環境悪化をもたらし,アーバンスプロールやスラム化を引き起こしている. このような状況を踏まえ,本年度は,発展途上にある首位卓越都市ヤンゴンを対象に,1980年代以降の都市化の空間的プロセス解明を課題とした.具体的には,高精細衛星画像データ(LANDSATやALOS)を用いてヤンゴン大都市圏および周辺地域における住宅の水平的拡大,都心部における建物の垂直的拡大を時系列的に可視化することを目的に,現地で土地利用に関するフィールドワークを実施し,住宅立地や都市機能が集積するメカニズムをさぐった.さらに本年度は,リモートセンシングとGISを駆使して,土地利用の変化,緑地環境の変化,都市容積の変化などをLANDSAT衛星画像データから分析する手法を開発した.NDVIを算出し,それを地図化して空間分布を捉えるとともに,時系列分析により,緑地空間の変容を定量的に解析することが有効であり,人口密度の導出については,DEMとDSMとの差分から建物の高さを推定し,これを床面積に乗じて,建物の容積を推定する手法が効果的であることがわかった.本研究で確立した方法は,LWINと村山の共著で国際学術雑誌に投稿した.現在,市域の空間的範囲(境界)を確定する汎用的な方法を構築中であり,次年度は,大都市圏の拡大に伴う都市化地域の人口増とその空間的メカニズムを明らかにしたい.
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