2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン検出走査トンネル顕微鏡を用いた表面ナノ磁性研究
Project/Area Number |
10F00322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森 文夫 東京大学, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KRUKOWSKI Pawel 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 窒化物 / ナノ構造 / 磁性 |
Research Abstract |
ナノ磁性体規則配列の磁性解明を目指して、固体表面に磁性規則ナノ構造を作成する方法を開発している。まず、Cu(001)表面上の規則窒化マンガンナノ構造を作成した。この実験では、最初に、超高真空中でスパッターとアニールを繰り返すことにより、清浄なCu(001)表面を作成する。次に、窒素イオン注入の方法で表面に窒素原子を導入し、それを400℃程度でアニールすることにより、平坦な窒素飽和吸着表面を作成する。その上にマンガンを蒸着し400℃程度でアニールすることにより、1原子層の窒化マンガンナノ構造薄膜を作成した。表面構造は走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて室温で観察した。次に、クロムを用いた場合に同様のナノ構造ができるかどうかを調べるために、平坦な窒素飽和吸着表面クロムを1原子層以下蒸着した後、400℃程度アニールしてSTM観察した。クロム蒸着量が0.1原子層以下の場合、アニール後には、窒素が一部脱離し、格子パターンが現れた。クロム蒸着量を増やしていくと、この規則ナノ構造は崩れていく。これは、表面にクロム原子混入したために、表面格子歪が緩和され、格子歪によって形成していた規則ナノパターンが崩れていくと解釈できる。1原子層のクロムを蒸着した表面に、窒素を補給しアニールすると、1原子層深さのナノトレンチが不規則に現れた。これは、窒化クロムが表面歪を導入したためであるが、銅だけの表面や窒化マンガンのように規則パターンができない原因は明らかではない。
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