Research Abstract |
修正重力理論では,物質に働く重力の強さが大スケールで変更を受け,密度揺らぎの進化が異なるために,宇宙の大規模構造や宇宙背景輻射などの観測量に影響を与える.研究代表者の辻川と研究分担者のGannouji氏は,f(R)理論,Galileon理論,Weyl理論における宇宙進化について詳細に調べ,それらの模型が宇宙論的に有効である条件について明らかにした.さらに,ゴーストや不安定性の問題を回避できる一般的な修正重力理論において,物質密度揺らぎと重力ポテンシャルが従う式を導出した.それに加えて,赤方偏移空間での銀河分布のスペクトルの最新の観測を用いて,f(R)理論とGalileon理論に基づく暗黒エネルギー模型の有効なパラメータ領域について明らかにした。これらの修正重力理論では,物質揺らぎの成長率がLCDM模型と異なることから,観測的に模型の選別ができることを示した. また修正重力理論では,宇宙の局所領域で一般相対論的な特徴を回復する必要があるが,そのような機構の一つとして,ヴァインシュタイン機構がある.我々は,Galileon場が小さな質量を持つ場合に,どのようにヴァインシュタイン機構が働くかを詳細に調べた.さらに,ガウスボンネ項が存在する高次元理論を4次元有効理論に落としたときに現れるスカラー自由度によって,ヴァインシュタイン機構が働き,第5の力の伝搬が妨げられることを示した. 上記の研究成果は,ストックホルムで開かれた会議において,Gannouji氏と辻川が発表し,研究成果の公表につとめた.また,これらの成果は,すでにPhysics Letters B誌やJCAP誌に掲載されている.
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