2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブリルアン散乱測定による下部マントル鉱物の弾性波速度決定
Project/Area Number |
10F00334
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 敬 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAI L. 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 外国人特別研究員
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Keywords | 地球内部 / 玄武岩質海洋地殻 / NAL相 / CF相 / 下部マントル / 高圧 / ブリルアン散乱 / 地震波速度 |
Research Abstract |
地球内部には過去に大量の玄武岩質海洋地殻が沈み込んだと考えられている。下部マントルに沈み込んだ玄武岩質海洋地殻中において、Alに富む相が岩石全体の約25%を占めることが知られている。このAlに富む相はNew Aluminous Phase(NAL相)およびCa-ferrite-type Phase(CF相)の2種類が知られている。これらNAL相とCF相は、NaAISiO4-MgAl2O4の2成分系でほぼ近似することができる。最近の相平衡の研究によれば、この2成分系において、N乱相は少なくとも45万気圧にてCF相へ相転移することがわかっている。これら2相の地震波速度はこれまで測定されたことがない。そこで本研究では、ダイアモンドアンビルセル装置を使った高圧実験とブリルアン散乱測定装置の組み合わせにより、高圧下で弾性波速度測定を行った。その結果、N乱相については9万気圧から38万気圧の範囲で、CF相についても18万気圧から74万気圧の圧力範囲で、横波速度の決定に成功した。それらの値は、他の代表的な下部マントル鉱物の速度に比べ、正方晶形のCaSiO3ペロフスカイト相を除き、遅いことがわかった。また、N乱相からCF相への相転移に伴い、横波速度が2.5%増加することが明らかになった。これらの結果は、下部マントルへ沈み込んだ玄武岩質海洋地殻が作る地震波速度異常を理解するのにきわめて重要なデータである。また今後、高温高圧下における速度決定が重要である。
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Research Products
(1 results)