2011 Fiscal Year Annual Research Report
超薄膜アニソトロピーの実現による超高感度・高選択的HPLCの開発
Project/Area Number |
10F00343
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤田 剛 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALLIK A.K. 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 分子認識 / 交互共重合 / ポリマーシリカハイブリッド / HPLC分離 / トコフェノール異性体 / βカロチン異性体 / 多環芳香族化合物 / ステロイド |
Research Abstract |
環境科学、食品科学、臨床医学などの分野で重要な物質の幾何異性体を、高速液体クロマトグラフィによって分離、分析することは、分析化学の分野で重要な課題である。本研究では、高選択的な逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)に利用可能な、新奇な有機超薄膜シリカハイブリッド型充填剤を開発することを目的としている。 平成23年度はポリ(オクタデシルアクリレート-N-オクタデシル-L-グルタミド-マレイミド)(ODA-ODAM)及びL-グルタミド脂質分子ゲルを導入したシリカ微粒子の合成と充填剤としての可能性を検討した。ODA-ODAMを導入したシリカ微粒子の合成は、表面開始ラジカル連鎖移動反応により3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)修飾シリカから交互共重合により行い、得られたシリカ微粒子は元素分析、拡散反射フーリエ変換赤外吸収スペクトル(DRIFT)、^1H-NMR,固体NMRなどによって分析し、HPLCカラムに充填して分子の形状選択性を評価した。その結果、昨年合成したODA-ODM型修飾シリカ充填剤よりも分子形状選択性が強化され特に多環芳香族化合物類、トコフェノールの異性体の分離能が向上することを見いだした。 また、L-グルタミド脂質を利用した分子ゲルを、MPSを介してシリカ微粒子表面へ導入し、多点相互作用により高度に配向した超分子構造によるHPLCの形状選択性についても同様に評価した。その結果これらがβカロテン、トコフェノール、多環芳香族化合物の分離に有用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい有機超薄膜を導入した2種類のシリカ微粒子の合成に成功し、HPLCの固定相として利用することで、非常に高い分子形状選択性を示すことを見いだした。具体的には、これまで分離が困難であった多環芳香族化合物やトコフェノール、βカロチン異性体成分の高選択的な分離が可能となった。また、これらの知見を5件の学会発表にて報告するとともに、3件の国際学術雑誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、高選択的な逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)に利用可能な、新奇な有機超薄膜-シリカハイブリッド型充填剤を開発することを目的としており、これまでに,カルボニル基や芳香環などの有機π電子系を高密度で配向させることで、高い形状選択性を示すことが判明している。今年度は電荷移動錯体を利用したマレイミドとアクリル酸エステルの交互共重合体や、多点水素結合を利用してアミド基を高い配向性で制御した分子ゲルを有機超薄膜として利用することで、分離が困難なトコフェノールやβカロチン等の異性体分離が可能であることを見いだしている。次年度はさらに選択性の向上を期待して、分子ゲルへのさらなる有機π電子系の導入を行い、表面構造の制御と評価を行う予定である。
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Research Products
(9 results)