2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00344
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
碇屋 隆雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUB P.A. 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | DFT計算化学 / 協奏機能触媒 / 水素化触媒 |
Research Abstract |
1)フッ素置換のスルホニル基を有するDPEN配位子をもつルテニウムおよびイリジウムのキラルアミド錯体がアンモニアおよびアミン化合物、ヒドラジンと反応して、それら分子を取り込んだ新たな三座配位のアミン錯体を与えることを見いだした。塩基性を有するアミド錯体がアンモニアと反応して、N-H結合の切断をともなってアミノ-アミン錯体を与え、ついで分子内にある炭素-フッ素結合を活性化しつつ、窒素を含む環状錯体を収率良く与える。結果としてアンモニアやアミン化合物のN-H結合が活性化され基質に取り込まれた錯体へと変換された。本反応は量論的ではあるもののアンモニアの固定化につながる新たな知見である。得られた窒素を含む環状化合物は、酸との反応により金属-窒素結合が切断され新たなアミノ基をもつアミン錯体を与えた。これらの新規アミン錯体は、ケトン類の水素化触媒として機能することことも明らかとなった。 2)協奏機能触媒能を有する三座配位のピンサー型ルテニウム触媒の存在下にフッ素置換のエステルの水素化が室温,10気圧の温和な条件下に選択的に進行してフッ素置換のアルコールやフッ素置換のヘミアセタールの作り分けに成功した。エステルの水素化は合成化学および環境にやさしい技術につながる可能性があることから立体化学を含む選択的還元法として重要である。 3)DFT計算手法を使って、協奏機能ヒドリド触媒によるケトン類の立体選択水素化反応の解析を詳細に検討した。従来、真空中の理想状態における計算化学では6員環遷移状態を経由する協奏的機構で水素移動が進行するとされていたが、溶媒を含む実触媒系に近い状態での評価した結果,中間にイオン対型錯体を経由する段階機構で進行することを明らかにした。東工大Tsubame計算機を使うことで計算速度を飛躍的に加速化させた結果でもある。
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