2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VELLAISAMY Sridharan 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | パラジウム / 2価4価系 / スピロビスイソオキサゾリン / 触媒 / 配位子 / 不斉反応 / 環化反応 / 不斉合成 |
Research Abstract |
本研究では、4価のパラジウムが中間体として寄与するパラジウム(2/4価)系触媒反応を中心に、既存の触媒ではラセミ体の合成すら困難な反応をエナンチオ選択的に促進する新規金属触媒の開発とその応用を行った。 既に開発に成功している、酸化的条件下でも安定なスピロビスイソオキサゾリン配位子を活用し、系中で生成したパラジウム(2価)中間体を強力な酸化剤の作用により特異な反応性を示すパラジウム(4価)種へと導き、従来のパラジウム(0/2価)系では達成できなかった変換反応を試みた。その結果、尿素過酸化水素付加体を強酸化剤に用いることで、パラジウム(2/4価)サイクルを経てエニンのエナンチオ選択的環化反応が進行することを見出した。塩化リチウムの存在下、反応を行うことで,医薬品原料として有用なモノクロロメチル基を有するα-メチレン-γ-ブチロラクトンを光学収率73%で得ることができた。 これまでスピロビスイソオキサゾリン配位子は、そのラセミ体を合成して、光学異性体分取カラムにより両鏡像異性体を光学的に純粋な配位子として得ていた。今回、配位子のエナンチオ選択的合成を検討したところ、予備的な実験結果ではあるものの、不斉超原子価ヨウ素試薬を用いると光学収率48%で目的のスピロビスイソオキサゾリン配位子が得られることを見出した。本エナンチオ選択的合成法が確立できれば、カラム分離による煩雑な操作を回避でき、本研究の主目的であるパラジウム(4価)の反応開発がより効率化されると考えられる。尚、ヨウ素試薬は、回収再利用できることを確認している。現在、ヨウ素試薬の不斉環境を最適化することで不斉導入効効率の改善を試みている。
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Research Products
(5 results)