2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00346
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VELLAISAMY Sridharan 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 環化反応 / パラジウム / 不斉触媒 / キラル配位子 / SPRIX |
Research Abstract |
Pd(IV)中間体を経由するエニンカルボン酸誘導体の酸化的タンデム環化反応を、Pd-スピロビスイソオキサゾリン(SPRIX)錯体を触媒として検討した。P-ベンゾキノンや、ジアセトキシヨードベンゼン等の酸化剤共存下種々検討したところ、最初の環化が進行したのちに中間体の分解が観測され、目的の三環式化合物は得られなかった。しかしながらアセチレン部位とカルボン酸部位との間で環化することを見いだしたため、出発物質としてアセチレン部位を二つ持つ対称でプロキラルなジインカルボン酸を選択して、エナンチオ選択的な環化反応を検討した。この過程においてジイン部位がSPRIXよりも強くPdに配位することが判明したため、強い配位力を持つBINAP等のキラルなホスフィン配位子を中心に検討した。Pd源は反応の収率とエナンチオ選択性に大きく影響し、Pd(OAc)_2を用いた場合に効率よく反応が進行した。現状では、BINAPを配位子として、ジクロロメタン中、室温で24時間反応させることにより収率86%で環化体が得られ、その光学純度は19%であった。今後は、本反応のエナンチオ選択性の向上を図る。また、生成物は、反応性に富むオレフィン部位とアセチレン部位を含んでおり、ドミノ反応への展開が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pd(IV)中間体を経由する反応開発には新規な点が多く、時間を要する研究テーマである。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに見出した環化反応の条件最適化を行い、エナンチオ選択性の向上を図る。また、四価のPd種を発生できる求核剤を探索し、Pd(II/IV)反応系へ展開する。
|