2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00351
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG Shu-Ping 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子化学計算 / 密度汎関数法 / 磁性 / 電子状態 / 酵素反応 |
Research Abstract |
メタン酸化酵素は常温常圧でメタンをメタノールにすることからエネルギー問題の解決に寄与すると共に、工業的プロセスとしても注目を集めている反応である。これらの詳細な反応機構が明らかになれば、高機能触媒の設計指針やバイオミメティック反応の設計とどまらず、量子化学の応用範囲を広げその周辺領域も波及効果が期待できる。平成22年12月より来日し、研究を開始した。研究内容は銅、鉄を活性中心にもつ,金属酵素の解析を行った。主に、銅酵素である膜結合型メタン酸化酵素(pMMO)と鉄酵素であるsMMO(可溶型メタン酸化酵素)を計算しその電子状態を明らかにした。さらに、量子化学計算の結果をもとに、構造パラメータの最適化をおこない反応の経路の予測、活性化エネルギーをおもとめた。その結果、強固なC-H結合(解離エネルギー100kcal/mol以上)が約20kcal/molの活性化エネルギーで解裂させられることが明らかになった。また、反応の各段階でラジカル種は発生しないことも明らかとなった。これらの結果まとめた論文は投稿準備中である。 来年度はこれまでの計算結果をさらに発展させ、小分子活性化の研究を行う。小分子活性化酵素の金属活性点での配位不飽和性が重要であり、低配位化合物に反応物錯体を理論的に解析する。さらに、より現実に近い実在系の計算にも挑戦する予定である。
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