2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガスセンシング材料用としての機能性マイクロ/ナノ構造を有する金属酸化物の調製
Project/Area Number |
10F00353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 則雄 九州大学, 産学連携センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BREEDON Michael 九州大学, 産学連携センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ガスセンサ / ゾルゲル法 / 金属酸化物 / YSZ / CuO / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、高度な固体電気化学式ガスセンサの構築を最終目標とし、酸化物系薄膜材料の作製法の検討、微細構造、表面物性の最適化、およびセンサ材料の結晶構造や電気化学特性の評価を行うものである。今年度は、昨年度に見出したイットリア安定化ジルコニア(YSZ)センサ用検知極材料の調製法の検討結果に基づいて作製した、マイクロ・ナノ構造を有するCuO検知極素子について、ガス応答特性の評価を行った。また、YSZセンサのガス応答メカニズムを明確にする目的で、スーパーコンピュータによるシミュレーション解析を行った。 まず、種々の検知極材料を用いたジルコニアセンサの作製と特性評価を行った。ゾルゲル法により合成したCuO微粒子を、検知極層としてYSZ上へ形成することで、種々の被検ガスの中でも、特にNO_2を高感度、高選択的に検知可能であることを明らかにした。 次に、高選択的水素センサを作製するため、Pt検知極上へ金メッシュを付加したところ、10ppmという低濃度水素の検知に成功した。 さらに、金属酸化物検知極を用いたYSZセンサにおけるガス検知メカニズムを検討するため、シミュレーションによる理論的モデリングを行った。具体的には、NOx検知におけるYSZの役割を明らかにするために、酸素イオン濃度の異なる2種類のYSZ(111)表面へのNOx(NO,NO_2)の吸着状態について、密度関数理論に基づいたスーパーコンピュータによる原子レベルでの理論的解析を行った。その結果、YSZ中の酸素イオン濃度が高い場合にNOxとより強い相互作用を起こすことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ゾルゲル法を用いた微細構造を有する検知極材料の合成とそのガス検知極材料への応用、およびコンピュータシミュレーションによるYSZセンサにおけるガス検知メカニズムの検討について計画したが、研究計画通りほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、金メッシュとPt検知極を組み合わせたYSZセンサについて、そのH_2検知メカニズムの解明に取り組む予定である。また、本素子の作製プロセスおよび作動条件を最適化することで、H_2に対して高感度および高速応答性を示すセンサの開発を目指す。 次に、今年度明らかにした理論的モデリングを用いたシミュレーションによるYSZ上へのNOx吸着について、温度変化による吸着状態への影響について検討を行う予定である。また、NOxに加えて、HCs(炭化水素)、H_2、COなどの種々のガス成分についてもシミュレーションによる検討を行う。 さらに、高温条件下においても長期的な安定作動が可能なセンサ材料を作製するために、ゾルゲル法を用いたナノ/マイクロ構造を有する新規な検知極材料の調製を行う予定である。
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