2011 Fiscal Year Annual Research Report
次次世代ニッケル基ナノ合金の計算科学的手法によるデザイン
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10F00370
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾方 成信 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Yunjiang 大阪大学, 基礎工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ニッケル基合金 / 高温強度 / 時間加速モデリング / 拡散 / 転位 / クリープ / 分子動力学法 |
Research Abstract |
多結晶体のクリープ変形が転位の運動と原子の拡散によって支配されていることはよく知られているが、原子レベルでの変形の具体的な描像は必ずしも明らかになっていない。その主な理由は,原子レベルの動的シミュレーションの時間スケールが,通常のクリープ試験の時間スケールに比べて極めて短いことが原因となっている。そこで、本研究では、系を比較的高温に置くことで、クリープ変形を加速させた分子動力学解析を行い、クリープ変形を支配している素過程を抽出し、それが熱活性化過程に支配されていることを用いて、様々な温度や応力下でのクリープメカニズムを説明することに成功した。具体的には,分子動力学計算法を用いて、ニッケルおよび銅のナノ多結晶体を単軸一定応力下に置き、一定のひずみ速度が達成された状態を獲得し、クリープ変形の解析を行った。解析によって得られた印加応力とひずみ速度関係の傾き(応力指数)が,低応力では1程度,高応力では4程度になることを示した。このような応力指数の変化は実験でも確認されている典型的な変化であり、モデル化したクリープ変形が妥当であることが確かめられた。次に、応力指数の変化と実際の変形様式がどのように関連しているかを原子構造変化の詳細な解析より明らかにした。原子構造の変化の解析の結果、応力指数1の条件下では、結晶粒界での原子拡散が変形を支配し,応力指数が増加するにつれ,粒界移動が支配的になり,さらに応力指数が上昇すると,粒界からの転位の生成による変形が支配的になることがわかった.また、詳細な解析の結果、これらの素過程の活性化エンタルピーが、温度によって変化するという新しい知見を獲得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ結晶の高温での変形メカニズムの解明については予定どおり行うことができた。一方材料が純ニッケルおよび純銅に限られており、ニッケル合金を用いた解析が終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
合金設計にむけて、23年度までに蓄積した変形メカニズムについての知見をもとに、合金系での解析を実施し、変形特性の合金組成依存性を明らかにする。
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Research Products
(5 results)