2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工的な窒素負荷が河川の樹木の生態に与える影響と樹木構成の変化
Project/Area Number |
10F00378
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
浅枝 隆 埼玉大学, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RASHID MD.HARUNOR 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 河川植生 / 河川土壌 / 砂州 / 窒素循環 / 河川樹林化 / 沖積河川 / 河川中流域 / 河川生態系 |
Research Abstract |
本研究の主たる課題は、1)植物による一次生産によって、供給される窒素の定量的な評価と2)根粒菌と共生する様々な植物による根粒菌による窒素ガス由来の土壌への窒素供給量の評価である。 1)に関しては、砂州上に生育する草本の量を、砂州表面の土壌中の窒素濃度、構成材料の粒径、さらに周辺の樹木の量の関数として、概略見積もることを可能にし、さらに、それに含まれる窒素濃度をかけることによって、土壌に供給可能な窒素量を評価した。また、洪水による冠水頻度によって、基盤になる土壌中の窒素濃度が決まり、その後、植生遷移によって徐々に窒素濃度が増加するという一次遷移の過程を過程し、その再現を行なうモデルを作成した。 2)に関しては、昨年度より継続して、根粒菌による窒素固定が、土壌中の窒素濃度に大きく依存することを更に詳細に確認したことに続き、本年度、それがpHに依存することを確認した。これらの結果より窒素固定率に関して環境要素の関数として表すことが可能になった。これに、クズの生長量、窒素含有量とのデータと組み合わせることによって、クズによって大気中から取り込まれる窒素量が可能になった。以上のような成果を実用に供するために、多摩川、利根川、荒川等の観測結果から、大型イネ科草本の群落、他の植物の群落、クズ等の排他的な群落が形成される場所が、冠水頻度、砂州の表面構成材料の粒径等の関数として、概ね分かれて形成すること等を示した。さらに、ツルヨシ、オギ、クズ群落の拡大速度等の経験的な評価式を提案することで、河川管理への利用を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる課題は、1)植物による一次生産によって、供給される窒素の定量的な評価と2)根粒菌と共生する様々な植物による根粒菌による窒素ガス由来の土壌への窒素供給量の評価である。1)に関しては、砂州上に生育する草本の量および窒素量の評価を可能にし、2)に関しては、クズにちょる窒素固定量をほぼ評価可能にしたこと等から、上記のように判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究、得られた結果を実際の管理に利用できる形にまで高めることにある。本研究結果から、概ね利用可能な形になってきているので、さらに、詳細なモデル化などの手法によって、河川砂州の変形や樹林化、さらに洪水による砂州変形の予測モデルに、そのまま利用できる形にすることが今後の課題である。
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Research Products
(6 results)