2010 Fiscal Year Annual Research Report
加圧二酸化炭素の化学的機能を利用した膨張液相場による材料合成と化学変換プロセス
Project/Area Number |
10F00386
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Ruixia 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 二酸化炭素 / 膨張液相 / 反応制御 |
Research Abstract |
加圧下で二酸化炭素が溶解して生じる有機膨張液相を化学反応や材料合成の反応場として応用し,その有用性を確認するため当初の実施計画に沿って次の実験研究を行った。併せて,異相として水添加の影響も調べた。 これまでに液相に溶解した二酸化炭素分子が,カルボニル基あるいはニトロ基と相互作用してそれらの反応性を変化させることを見出している。今回はニトリル基に注目して,その水素化における総括転化率と生成物分布に及ぼす加圧二酸化炭素の影響を調べた。反応基質としてベンゾニトリル,触媒としてアルミナ担持パラジウム触媒を用いた。二酸化炭素で加圧すると水素化速度は遅くなり,1MPa程度の圧力でも水素化速度がレベルオフする傾向が認められた。二酸化炭素圧力が高くなるほどレベルオフの程度は顕著となった。即ち,反応系を二酸化炭素で加圧すると触媒の失活が起こりやすくなる。同じ総括転化率で比較すると,第1級アミン(ベンジルアミン)の選択率が低下した。二酸化炭素で加圧しない場合,転化率20%で第1級アミン選択率は約90%であるが,1MPaで約85%,14MPaでは50%以下にまで低下する、触媒失活の一因として反応中に生成する一酸化炭素が,触媒パラジウム微粒子表面に吸着することが考えられ,実際に高圧その場赤外分光法で検出しており詳しい検討を進めている。 ニトロベンゼンの選択的水素化において水添加により二酸化炭素加圧効果が1MPa程度の低圧で発現することを見出している。この知見をもとに,上述のベンゾニトリル水素化で水添加の影響を調べた。その結果,二酸化炭素と水共存下では第1級アミンがほぼ100%の選択率で得られ,触媒の失活も起こらないことを見出した。
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