2011 Fiscal Year Annual Research Report
加圧二酸化炭素の化学的機能を利用した膨張液相場による材料合成と化学変換プロセス
Project/Area Number |
10F00386
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Ruixia 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
|
Keywords | 二酸化炭素 / 膨張液相 / 反応制御 |
Research Abstract |
(1)ベンゾニトリルの水素化:水が存在しない条件で反応を行うと,二酸化炭素の圧力とともに転化率と第1級アミンの選択率は低下した。この低下傾向は,特に反応基質がすべて二酸化炭素気相中に溶解した均一系(アルミナ担持パラジウム固体触媒は除く)で顕著であった。反応混合物に水を添加すると反応の様相が大きく異なった。総括の転化率は半分程度に減少するものの,第1級アミンの選択率は95%以上の高い値を示した。この値は1~14MPaの範囲で二酸化炭素圧力に依存しなかった。二酸化炭素と水が共存する多相系反応場は,ベンジルアミンの選択的合成に有用であることが分った。反応の経時変化を調べたところ,水も二酸化炭素も存在しない場合,反応は速やかに進行し100%の転化率が得られる。しかし二酸化炭素で加圧すると,転化率は反応の経過とともに変化しなくなり(反応は止まり),触媒の失活が認められた。この二酸化炭素の膨響は高圧ほど顕著であった。しかし,水が共存すると触媒の失活は起こらなかった。失活の原因として高圧二酸化炭素と水素からの一酸化炭素の生成と触媒表面への吸着が考えられたので,高圧その場赤外分光法で調べた。その結果,水の有無に拘わらず一酸化炭素は生成しており,また一酸化炭素を予め吸着させておいた触媒でも反応が進行したことから,他の原因が考えられた。第1級アミンと二酸化炭素を接触させると容易に水溶性のカーバメート種が生成することが認められた。これが触媒表面に付着して触媒を失活させ,水が存在すると溶解して触媒表面の被毒は起こらないと考えた。(2)チタニア微粒子:加圧二酸化炭素の存在下で水の光分解反応を行った。予備実験から,二酸化炭素は水素生成に影響するものと考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化炭素と水が共存する多相系反応場の特徴,両者の化学的・物理的効果を一層明らかにすることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
・本反応場における二酸化炭素と水の役割は多岐にわたるが,分光学的手法で分子レベルで一層明らかにしたい。 ・本多相系反応場を他の反応に適用して,その有効性,応用範囲を明らかにしたい。 ・チタニア微粒子の触媒作用に対する二酸化炭素の加圧効果についてはその可能性を見極めたい。
|
Research Products
(2 results)