2012 Fiscal Year Annual Research Report
加圧二酸化炭素の化学的機能を利用した膨張液相場による材料合成と化学変換プロセス
Project/Area Number |
10F00386
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Ruixia 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 二酸化炭素 / 膨張液相 / 反応制御 / 選択的水素化 / 多相系反応 |
Research Abstract |
本研究では,二酸化炭素加圧下の有機基質液相(二酸化炭素溶解膨張液相)を反応場として有機反応を種々の条件下で行い,その特徴と水相共存の効果を詳しく調べた。アルミナ担持パラジウム触媒を用いたベンゾニトリル水素化では,二酸化炭素と水が存在すると第1級アミンの選択性が向上し,触媒失活も起こらない。水素化で生成した第1級アミンは二酸化炭素と反応してカーバメート種に変化する。これは固体であるため触媒表面に付着して,触媒の活性低下と失活の原因となる。しかし,水が存在するとカーバメート種は水溶性であるため,触媒への付着が抑制され活性は持続する。本反応系でも二酸化炭素と水素から一酸化炭素が生成し触媒に吸着するが,それは活性低下を引き起こす要因ではない。 反応基質をフェノール,アルミナ担持パラジウムを触媒として同様な検討を行った。本系での二酸化炭素と水の影響は,上記の場合と全く異なっていた。反応系を二酸化炭素で加圧すると,時間とともに反応速度が低下し触媒の失活が見られた。水を添加すると,更に顕著な触媒失活が起こった。赤外分光の結果から,触媒失活の要因は触媒上での一酸化炭素の生成と吸着であると考えられた。水のみが存在する場合でも緩やかな活性低下が認められたが,その原因は現時点では明らかではない。アルミナ担体の水への溶解と触媒表面への再析出が関係しているのではないかと推測し,触媒を水に浸漬させてアルミナ溶解とパラジム表面積の変化を調べているところである。 更に,二酸化炭素で加圧した水相にチタニアを分散させて紫外光を照射し,水素の発生を調べた。特定の化学構造の界面活性剤が共存する条件では,二酸化炭素の加圧によって水素発生速度が約1桁大きくなることを見出した。高圧その場紫外可視分光の結果から,二酸化炭素がチタニア表面に集積してその電子状態を修飾するためにその光触媒活性を向上させると推定した。
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Research Products
(4 results)