2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネ耐虫性遺伝子のクローニングと加害性に関わるトビイロウンカゲノム領域の特定
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10F00400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 正見 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAIRIN Jirapong 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / トビイロウンカ / ウンカ耐虫性 / トビイロウンカ耐虫性遺伝子 / ウンカDNAマーカー連鎖地図 / ウンカの加害性 |
Research Abstract |
(1)東アジア地域のウンカ耐虫性育種上有効な抵抗性遺伝子群の分子的基盤の解明 台中65号(T65)を遺伝的背景とするトビイロウンカ(BPH)抵抗性遺伝子BPH25とBPH26の近似同質遺伝子系統(NIL)と遺伝子集積系統(PYL)を用いて、最近,東アジアで採集したトビイロウンカ(BPH)個体群に対する加害力を検証した。4地域のBPH個体群に対する抵抗性のスペクトラムを評価した結果、まず、日本採集BPH個体群(2010-BPH)では、BPH25に対する加害力を持たなかったが、BPH26に対する加害力を有した。同様に、フィリッピン個体群と北部ベトナム個体群は、BPH25に対する加害力をもたなかったが、BPH26に対する加害力を有した。南部ベトナム個体群は、あらゆる抵抗性遺伝子に対する加害力を有していた。すなわち、BPH25とBPH26それぞれを単独でもつ系統に加えて、その両遺伝子を保有する集積系統においても、南ベトナム個体群に対する抵抗性が喪失していた。 (2)イネのウンカ抵抗性遺伝子を加害するウンカ側の加害性遺伝子の特定 ウンカ類は水稲の重要害虫である。熱帯アジア地域を中心にイネの周年栽培地帯では耐虫性イネを加害できるウンカが容易に発達するために、恒久的な耐虫性品種の利用にとって脅威となっている。耐虫性品種の持続的利用のためには、トビイロウンカ耐虫性遺伝子の分子的基盤の解明のみならず、抵抗性遺伝子に対するウンカ側の加害性の遺伝的基盤を明らかにする必要がある。そこで、トビイロウンカの耐虫性遺伝子加害性の遺伝分析を可能とするため、まずはあらゆる形質遺伝子のマッピングの基盤となるウンカのDNAマーカー連鎖地図を構築することに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
外国人特別研究員J.Jairin氏が、九州大学農学研究院植物育種学研究室と協力して研究課題を推進するとともに、九州大学大学院農学研究院、農業生物資源研究所、農研機構九州沖縄農業研究センターの3研究機関による共同研究に参画し、世界で初めてトビイロウンカDNAマーカー連鎖地図の構築を成し遂げつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
外国人特別研究員J.Jairin氏が、九州大学大学院農学研究院、農業生物資源研究所、農研機構九州沖縄農業研究センターの3研究機関による共同研究に参画し、世界で初めてトビイロウンカDNAマーカー連鎖地図の構築を成し遂げる。参画する3研究機関の全面的支援を受けて、一刻も早く世界初のトビイロウンカDNAマーカー連鎖地図を完成させ、論文を投稿する。
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Research Products
(1 results)