2010 Fiscal Year Annual Research Report
バベシア原虫のヘモグロビン分解経路の解明と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
10F00419
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 宏志 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABOGE G.O. 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | Babesia gibsoni / ヘモグロビン / 治療薬 / cDNAライブラリー / ESTデータベース |
Research Abstract |
本研究では、バベシア原虫の赤血球内寄生機構の一環としてヘモグロビン分解経路の解明に焦点を当て、それに基づいた新規治療法の開発を試みる。本年度に実施した研究内容と得られた研究成果は以下の通りである。 1.バベシア原虫のESTデータベースの作成。当研究室での研究実績が多いイヌバベシア原虫(Babesia gibsoni,NRCPD株)からmRNAを抽出し、完全長cDNAライブラリーを構築した。次に約1万クローンの塩基配列を解読し、ESTデータベースを作成した。 2.ヘモグロビン分解経路に関わる遺伝子の同定。イヌバベシア原虫のESTデータベースと既に公表されているマラリア原虫のESTデータベースを網羅的に比較検討したところ、ヘモグロビン分解の各段階に関わると推定される酵素遺伝子cysteine protease2(BgCP2)、cathepsin C(BgCTC)、leucine aminopeptidase(BgLAP)などを特定できた。 3.組換えタンパク質の発現。BgCP2、BgCTC、BgLAP遺伝子をそれぞれ大腸菌発現系にて発現を試みたところ、BgLAPのみが機能解析に適した可溶性組換えタンパク質として発現できた。得られた組換えBgLAPをマウスに免疫し、抗BgLAP特異抗体を作製した。得られた特異抗体を用いてイムノブロットを行ったところ予想通りの分子量をもつ57kDaのB.gibsoni虫体由来の天然BgLAPが同定できた。また、特異抗体を用いて蛍光抗体法を行ったところ、BgLAPはB.gibsoniの赤血球寄生の全ステージにその発現が認められた。次に、精製した組換えBgLAPの酵素活性を調べたところ、典型的なロイシンアミノペプチダーゼ活性が認められた。
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