2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 昭夫 京都大学, 医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Wangyang 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | もやもや病 / 脳血管疾患 / 遺伝解析 / mysterin / SNP / 東アジア |
Research Abstract |
我々は近年、全染色体における連鎖解析によって17q25.3がもやもや病の連鎖領域であること(Neurology2008)、またRaptor遺伝子のrare variant、ss161110142が東アジアにおけるもやもや病発症と強く相関することを明らかにした(Environ Health Prev Med. 2010)。 平成23年度は、Raptor遺伝子周辺領域で系統的に変異の探索を行うとともに、次世代シーケンサーによる全遺伝子エクソンの塩基配列決定を行い、mysterin遺伝子(RNF213遺伝子、データベースとのORFの違いにより我々が命名)がもやもや病の感受性遺伝子であること、さらにin vitroおよびin vivoの解析でmysterinが血管新生に重要な役割を果たすことをを明らかにした(PLoS ONE 2011)。さらに、上記研究で見出された日中韓で共通の創始者多型(p.R4810K)について一般集団を対象に遺伝疫学的検討を行い、日本および韓国では人口の約3%、中国では0.4%が遺伝子キャリアーあることを見出した。これらの結果、東アジアでのキャリアーの推定人数は、1千500万人に上り、その内の約300分の一である5万人がもやもや病の患者であると推定した(Neurologia medico-chirurgica,in press)。また、もやもや病以外にも、我が国における脊髄小脳変性症の研究にも参加し、染色体20番に存在するNOP56遺伝子の非翻訳領域ヘキサヌクレオチド繰り返し配列である(GGCCTG)の伸長が、新たな脊髄小脳変性症であるSCA36を引き起こすことを証明した(Am J Hum Genet. 2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
家系解析および遺伝疫学的解析、さらに生化学的機能解析を行い、mysterin遺伝子をもやもや病の感受性遺伝子として同定し、血管新生に重要な役割を果たすことを明らかにし、筆頭著者として論文を発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Cre/loxP系によるMysterinノックアウトマウスの作成し、脳血管形成を中心に形質の評価を行う。またMysteinと相互作用する分子およびそのパスウェイについても解析を行う。 日本人もやもや病患者から採取した皮膚組織よりiPS細胞の作成を行う。作成したiPS細胞は血管内皮および平滑筋細胞に分化させ解析を行うことで、もやもや病の病態解明に寄与する。また患者由来iPS細胞の作成は、拒絶反応を引き起こさない移植治療の基盤となる知見を得られる可能性も期待できる。
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