2011 Fiscal Year Annual Research Report
原子スケール・メゾスケールプラズモンと赤外ナノアンテナ
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10F00501
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長尾 忠昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOANG C.V. (独)物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | アンテナ / センシング / プラズモン / DNA / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究は、赤外の共鳴周波数を持つ金属ナノアンテナについて、光・電子の両プローブ法を用いて計測し、原子スケール、ナノスケール物質の電磁応答特性を解明する。本年度は引き続きシリコン表面上にIII族元素を用いて表面改質を行い、その上に分子線エピタクシー法により様々なAgのナノディスクを製作し、サイズを変化させたディスクの赤外スペクトルを測定しこれをEELS実験と比較した。その結果、定在波モードと伝搬型モードとの分散曲線がよく一致し、超薄膜の銀ナノディスクの近赤外-赤外帯域のプラズモンが有限サイズに閉じ込められた定在波プラズモンとして良く説明できることが分かった。一方、1層とそれ以上の厚さの場合とでは、超薄膜プラズモンの厚さの効果だけでは説明できない定性的に異なった分散曲線になることが分かった。震災により一カ月間帰国したために研究は一時中断したが、帰国後に無電解メッキ法によるランダムナノアンテナの構造最適化を行い、DNAや蛋白質のセンシング応用の実験を進めた。その結果、10^-18M(アトモラー)レベル以上の高感度で溶液中の分子をその場計測できることを見出した。また、DNAをアプタマーとして用い、湖沼の環境水に溶解した重金属を、抽出処理を行わなずに検出を試みた結果、ppbレベル以下の低濃度での検出に成功した。これらの成果をプラズモニクスの国際会議SPP5、表面薄膜の国際会議ISSS-6において口頭発表2件、ポスター発表1件の発表を行い、ISSS-6にて優秀ポスター賞を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災・福島原発事故の際に家族共に日本をはなれ、また使用していた装置が故障するなどの障害があったが、帰国後は速やかに研究に復帰した。現時点では発表論文は無いが、実験成果を着実に出しており、国内外の学会において積極的に発表し、逐次投稿論文として発表してゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室既存の計測技術を用いて溶液中のバイオセンシングについて、成果を得つつある。今後は、多角的に進め、詳細を詰めながら研究を深く掘り下げてゆく必要がある。日本滞在期間中に、多方面に広く興味を持ちスキルアップを行ってほしいが、それと共に得られた成果を2年間の任期中に研究結果を纏めることができるよう、バランスを取り着実に進めてほしい。
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