2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00508
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
徐 強 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YADAV Mahendra 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素 / 水素貯蔵 / エネルギー |
Research Abstract |
これまで報告されている化学的水素貯蔵材料の主なものは水素放出温度が高い上、固相材料であったため、自動車等の移動型供給先への充填や副生成物の回収・再生が困難であった。そのために、水素含有量が高く、温和な条件下で水素放出が可能で且つ移動型タンクへの充填が容易な液状の化学的水素貯蔵材料の開発が強く求められている。本研究では、液相化学的水素貯蔵材料を取り上げ、温和な条件下での水素発生触媒の開発を目的としている。逆ミッセル法を用いて、金ナノ粒子を内包したシリカナノスフェア(金@シリカナノスフェア)を合成し、高い水素含有量を持つ液相化学水素化物であるギ酸の分解・水素放出反応における触媒活性評価を行った。アミンを含まない前駆体を用いて合成した金@シリカナノスフェアはギ酸の分解反応に活性を示さないのに対し、アミンを含む前駆体を用いて合成した金@シリカナノスフェアはギ酸の分解反応に高い活性を示すことを見出し、アミンの存在が金ナノ粒子触媒の活性の発生に重要であることを明らかにした。さらに、アミンを含む前駆体を用いて合成した金@シリカナノスフェアは、高温焼成によりアミン官能基を失うのに伴って触媒活性を失う。また、シリカナノスフェアの外表面にアミン修飾を行い、さらに金ナノ粒子を担持させても触媒活性を示さないことから、アミンの存在及びシリカナノスフェア内における金ナノ粒子周りのアミン官能基の配置などの環境が触媒活性に重要であることを明らかにした。詳細に調べた結果、金触媒表面とアミン官能基との間に、新しいタイプの金属・担体効果が存在し、それによってギ酸分解に有利な反応中間体が形成し、ギ酸分解がより効率よく進行することを明らかにした。アミン官能基修飾金@シリカナノスフェア触媒は、高い水素含有量を持つ液相化学水素化物であるギ酸分解・水素発生反応において、高い触媒活性及び繰り返し使用における高い耐久性を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画に沿って実験・研究を行った結果、金@シリカナノスフェアは、アミン官能基修飾を行うことによって、高い水素含有量を持つ液相化学水素化物であるギ酸分解・水素発生反応において、高い触媒活性及び繰り返し使用における高い耐久性を示すことが明らかになった。研究計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、研究計画に沿って実験・研究を行い、温和な条件下において液相系化学水素貯蔵材料であるギ酸の分解反応における不均一系高活性触媒開発を行う予定である。特に、金属ナノ粒子の担体における表面グループや官能基の役割について詳細な検討を行う。研究計画を変更することなく、当初計画に沿った実験・研究を実施する予定である。
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