2011 Fiscal Year Annual Research Report
RunxタンパクVWRPY配列を介した免疫細胞分化制御機構の解明
Project/Area Number |
10F00516
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷内 一郎 独立行政法人理化学研究所, 免疫転写制御研究グループ, グループディレクター
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEO Wooseok 独立行政法人理化学研究所, 免疫転写制御研究グループ, 外国人特別研究員
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Keywords | Tリンパ球 / Runx転写因子 / 遺伝子発現制御 / 細胞分化 / 転写抑制共役因子 / サイレンサー |
Research Abstract |
Runxタンパクは標的遺伝子の発現を正にも負にも制御する活性を持つ転写因子であり、多細胞生物の発生・分化過程に重要な機能を持つことが知られている。RunxタンパクのC末端に存在するVWRPY配列は生物種を超えて良く保存されおり、Groucho/TLE転写抑制共役因子ファミリーとの会合に必須であることから、Runxタンパクによる遺伝子発現抑制に重要な役割を果たすと考えられている。本研究課題ではVWRPY配列の機能解明を目的に、VWRPY配列を欠損した変異Runx1タンパク、Runx3タンパクのみを産生するRunx1^<ΔV>マウス、Runx3^<ΔV>マウスを交配し、Runx1とRunx3両タンパクでVWRPY配列を欠損するRunx1^<ΔV/ΔV>;Runx3^<ΔV/ΔV>マウスを作製した。これらマウスモデルを用い、T細胞分化過程でRunxタンパクによるサイレンサーの活性化により遺伝子発現が抑制されることが知られているCd4、ThPOK、IL4遺伝子を研究対象にその発現を解析した。その結果、Runxタンパクによる遺伝子発現抑制機構は、野営型Runxの発現量に依存し、また標的遺伝子により、VWRPY配列への依存性は異なることが判明した。具体的にはCd4サイレンサーの活性はVWRPY配列完全に依存するが、ThPOKサイレンサーの活性は部分的に依存するのみであった。またクロマチン免疫沈降法の結果からTLE2転写抑制共役因子のCd4サイレンサーへの結合は必ずしも、Cd4遺伝子の発現抑制とは相関しないという興味深い観察結果を得た。これらの成果は国内学術会議にて発表し、また国際雑誌Immunology and Cell Biologyに論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の大きな課題であった異なるサイレンサーではVWRPY配列への依存性が異なることを明らかにし、その成果を論文発表したから。
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Strategy for Future Research Activity |
Runx1タンパクでのVWRPY配列により、iNKT細胞分化が障害されることを見出したが、その分子機序の解明には至っていないので、Runx1標的遺伝子の同定を引き続き行う。またRunx1^<ΔV/ΔV>;Runx3^<ΔV/ΔV>マウスでの肺への細胞浸潤の病理機序について、IL-4サイトカインばかりでなく、複数のケモカインの異常発現が関与する傍証を得たので、Runxによるケモカイン遺伝子群の発現制御機構とその生理的意義を明らかにする。
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Research Products
(4 results)