2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PETERS Robert 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | モット転移 / 強相関電子系 / 量子相転移 / 磁性 / 軌道自由度 |
Research Abstract |
本研究は、強相関効果に重点を置き、モット転移近傍における量子凝縮相の理論的研究を行うことを目的としている。本年度は、量子相転移点近傍でのスピン・軌道揺らぎに起因する新奇な量子現象を中心に研究を展開した。 1.フラストレーションを持つ多軌道電子系の典型例として、3角格子上の近藤格子模型の研究を行なった。近藤格子模型は、重い電子系を記述するスタンダードなものとして、これまで多くの研究がなされてきた。これにフラストレーションを取り込んだ系の研究が近年活発に行われている。ここでは、動的平均場理論と数値くりこみ群を用いて、反強磁性がフラストレーションによってどのように崩壊するか調べた。まず正方格子から出発し、対角的な電子ホッピングを導入することで、系を連続的に3角格子へと変形した。その結果、非磁性相の性質はフラストレーションの効果をほとんど受けない一方で、反強磁性相は、フラストレーションの増加に伴い不安定となり、非整合秩序相へと転移することが分かった。 2.強相関系の取り扱いを冷却原子系にも展開した。特に、ボースフェルミ混合系における多体効果について動的平均場理論を用いて解析を行った。ボースフェルミ混合系における以下のような特徴的な多体効果を明らかにした。(a)ボースフェルミ混合系における特徴的な多体効果がボソンの超流動成分が存在する場合において発現し、一粒子励起スペクトルにピーク構造を形成すること、(b)さらにこの多体効果はフェルミ粒子の幅広いフィリングにおいて発現すること、(c)この効果は、フェルミの密度波秩序が存在する場合においても発現すること。この解析により金属・絶縁体・超固体相を含む相において多体効果の発現の起源が同じであり、統一的に解釈できることを示した。
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