2011 Fiscal Year Annual Research Report
物理法則を考慮した仮想生態系に基づく進化プロセスの研究
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10F00763
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 隆也 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PILAT Marcin 名古屋大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 3次元仮想的物理環境 / 人工生命 / 捕食被食関係 |
Research Abstract |
研究は極めて順調に進展している.我々は,まず,研究計画において目指している,生態系スケールの共進化と動的環境を実現するための様々な必要条件について検討を行った.具体的には,共進化と動的環境のインプリメンテーションと検証の作業は,独自の3次元仮想的物理環壌であるMorphid Academyをベースにして飛躍的に進展した、その過程で,この種の3次元仮想的物理環境に共通の欠点としての計算誤差の問題に取り組み,それを克服するための可能な解決法を示した.これに関しては,国際会議AROBにて発表を行い,また,国際ジャーナルArtificial Life and Roboticsでの採録が決まった. 我々の研究計画は,ダイナミクスの解明を目的としており,仮想生物の生態系レベルの大きなスケールの共進化に焦点をあてている.そこで,仮想的3次元物理環境の中での捕食被食行動に関わるタスクを用いて,仮想生物の共進化ダイナミクスを検討した.そして,実験により,捕食者被食者間の興味深い共進化を創発させることに成功した.捕食者が被食者を追跡する行動を獲得すると同時に,被食者は防御行動を進化させた.それらは,体構造と行動の両者が共進化するダイナミクスを内在しており,自然界に見られるような多様性が見られた.この研究成果は6月に開催される国内学会で発表予定である. 動的な物理環境において生き残ることは生物にとって本質的な要件である.そこで,仮想3次元物理環境を用いて,限られた餌資源が存在する動的環境における仮想生物の餌探し行動の進化を検討した.仮想空間を動き回って餌を探すために,仮想生物は体構造と行動を共進化させる必要がある.初期実験の結果,興味深い行動が進化したことが確認できた.これらの研究は本研究計画の中核を占めるニッチ構築に関わるテーマへの重要なステップである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に即した研究の進展が見られただけでなく,研究遂行の過程でこの種の研究に普遍的な問題点をみつけ,その解決方法を明らかにして成果として発表したという点から,このような評価をくだした.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果を受けて,研究計画通り,3次元仮想的物理環境を用いた生態系レベルの共進化ダイナミクスの研究を進める.
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Research Products
(5 results)