2012 Fiscal Year Annual Research Report
物理法則を考慮した仮想生態系に基づく進化プロセスの研究
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10F00763
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 隆也 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PILAT Marcin 名古屋大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 3次元仮想的物理環境 / 人工生命 / 捕食被食関係 |
Research Abstract |
仮想生態系を用いた進化プロセスの研究として餌探しに焦点を絞って進化プロセスを研究した.実験により,初期世代では動くことさえできなかった仮想生物が仮想環境に分散する餌を検知し,そこに移動して消費することができるように進化することが示された.また,環境内にある餌の量や分布に適応した行動をとることができるようになることも明らかになった.さらにその拡張として,同一環境内で複数の仮想生物群が餌を競合して取り合う設定における進化のプロセスについても検討した.その結果,そのような競合環境のほうが進化速度が増加することが示された.生物種間で競合することが結果的に進化を促進させる興味深い知見である.さらに,モデルを拡張し,仮想生態系を用いて捕食-被食の共進化という枠組みの中で起こる形態-行動の共進化という二重構造の共進化のダイナミクスを検討した.従来研究において注目されることが比較的少なかった被食者側の進化に焦点を合わせた点がユニークである.被食者の防衛戦略の多様性がいかに創発するかということに焦点を合わせた進化シミュレーションを行った.その結果,仮想生態系の環境の移動に関わる条件に依存して,1)捕食者から移動することで逃れる逃走型,2)弱点を守ることで生き延びる防御型,及び,3)これらの特徴を併せ持つハイブリッド型,といった多様な防衛戦略が生じ,それに応じた体構造と行動をとる多様な個体が創発することが示された.特に,ハイブリッド型の戦略が創発する過程において,進化の初期には防御型の形態が進化し,その後,移動する能力を獲得するという,形態と行動を順に進化させながら,高度な戦略を獲得する被食者の進化プロセスを詳細に分析した.また,自然界の生物に見られる被食者の戦略との類似性についても示すことができた.これらの成果は,国内の学会や国際会議で発表された.
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Current Status of Research Progress |
Reason
最終年度
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度
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Research Products
(6 results)