2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子核の高度に精確なエネルギー固有値の効率的な多次元グリッドの定式化
Project/Area Number |
10F00769
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANDERSON James Stewart Murray 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 計算量理論 / 多電子系 / グリッド / 多次元グリッド / シェルモデル / 殻模型 / モンテカルロ殻模型 / クラスター模型 |
Research Abstract |
James Anderson博士が日本学術振興会の外国人特別研究員として平成22年11月末に来日する直前に学位論文の研究テーマとしてカナダで行っていた研究は、計算量理論(Complexity theory)から得られる数学的な定理を用いて多電子系の構造解析のための効率的な多次元グリッドを設計するものであった。このような、空間に設定したグリッドに基づいた方法論を一般化して、原子核物理学での精確な波動関数を求める、即ち、現実的な相互作用の基でのシュレーディンガー方程式の解法を得ることを模索して、様々な理論的な研究を行い、色々な試みを行った。James Anderson博士の受入れ研究室である代表者の研究グループでは、特に多数の粒子(陽子や中性子)からなる量子多体系に対する効率性の高いシェル模型計算を行っている。とくにモンテカルロ殻模型を自ら提唱して発展させている。この方法に対して、問題が本来持っている可能性のある滑らかさ(smoothness)を生かせるように改良することをJames Anderson博士は提唱してきた。さらに、James Anderson博士は適切に設けられたグリッド上で有効相互作用を展開することによって、現実的な相互作用のもとで多体系のシュレーディンガー方程式が解けるような枠組みを得るべく試行を繰り返しており、様々な可能性を試してきた。未だに、決定版は見つかっていないが、シェル模型ばかりでなく、クラスター模型などへの応用も考えられ、将来性のあるアプローチと認められる。
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