2010 Fiscal Year Annual Research Report
Dブレインのソースがある場合のゲージ/弦双対性-応用と新しい解
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10F00778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 茂樹 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHMUDE Johannes 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | 弦理論 / Dブレイン / ゲージ理論 / 重力 |
Research Abstract |
まだ論文の形にまとまっていないが、2010年度(Schmude氏が来日した10月以降)は以下のような研究を行った。これまでの研究で、QCDを弦理論の枠内に実現する方法が分かってきた。そこで、この方法を一歩進めて、QCDだけではなく、重力や電弱相互作用をも含み得る枠組みを構築することを目標に、その準備としてD8ブレインとO8プレインを含む系を考え、D8ブレインの上に実現されたゲージ理論とバルクにある重力場やカルツァ・クラインモードとの相互作用を調べた。このセットアップはランドール・サンドラム模型と多くの共通点があるが、一方で、定性的な性質がだいぶ異なる点があることも分かった。例えば、D8ブレインを2つのO8プレインのある位置に配置した場合、D8ブレインの枚数が多い方と少ない方で、得られるゲージ理論のエネルギースケールの差を大きく広げることが可能であることが分かった。この性質はランドール・サンドラム模型と同じ特徴であるが、エネルギースケールの大小とブレインのテンションの正負の関係がランドール・サンドラム模型と逆の関係にあることが分かった。一方、ランドール・サンドラムモデルと違って、重力やカルツァ・クラインモードとブレインの上の場との相互作用は2つのブレインの間で大きな差がないことも分かった。今後、このような解析をさらに進め、この系の物理を詳しく調べるとともに、より現実的なゲージ理論を実現するようなセットアップで考えていきたいと考えている。
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