2012 Fiscal Year Annual Research Report
Dブレインのソースがある場合のゲージ/弦双対性-応用と新しい解
Project/Area Number |
10F00778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 茂樹 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHMUDE Johannes 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | Dブレイン / ゲージ理論 / 双対性 / 超弦理論 / 超共形指数 / AdS/CFT対応 / 超重力理論 |
Research Abstract |
交付申請書に記載したように、超対称性のない4次元のゲージ理論の性質を超弦理論の双対性を用いて解析する研究を行った。タイプIIB型の超弦理論の中にオリエンティフォルドプレインとDブレインを超対称性を破るように配置することで4次元の超対称性のないゲージ理論を実現し、さらにタイプIIB型の超弦理論において成立することが知られている双対性を適用することによって、超対称性のないゲージ理論における双対性を得ることができる。この双対性は強結合の理論と弱結合の理論を結びつけるため、強結合理論で予想されるカラーの閉じ込めや対称性の力学的破れなどの現象を弱結合の理論を用いて解析することを可能にする。実際、弱結合の理論による解析によって、強結合理論でカラーの閉じ込めや対称性の力学的破れなどの現象が起こっている強い証拠を得ることができた。この系は超対称性がない場合でも弦理論による解析が大変有用であることを示す貴重な例になっており、今後、現実のQCDを含むさまざまなゲージ理論への応用が期待される。 研究分担者のSchmude氏は、超共形ゲージ理論の超共形指数と呼ばれる量をAdS/CFT対応に基づいて解析をした。弦理論側の解析は5次元の反ドジッター時空と佐々木-アインシュタイン多様体の直積で与えられる時空における超重力理論を用いて行われ、これがゲージ理論側の解析の結果と一致することを確かめた。さらに、超重力理論における記述によって、超共形指数が佐々木-アインシュタイン多様体のKohn-Rossiコホモロジー群との関係などを明らかにした。これらの結果はAdS/CFT対応が成立する証拠を得るとともに、ゲージ理論の解析に有用な幾何学的手法を開発した重要な成果である。
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