2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学的手法上での分極性グラファイト及び金属表面におけるイオン液体吸着研究
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10F00798
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
IRLE Stephan 名古屋大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ADDICOAT Matthew 名古屋大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イオン液体 / 量子化学 / 異性化 / 分散相互作用 / 強結合法 / DFT-DFTBベンチマーク / CCSD(T)/CBS / フェニルアセチレンクラスター |
Research Abstract |
a)アディコート博士は「CrazyLego」と呼ばれる、柔軟なクラスターの配向性をコンピュータ上で正確かつ効率よく決定することができる斬新な手法を開発した。この手法は高速な量子力学的手法と共に、確率論に基づいて発生させた構造を用いる。彼は三次の補正項を加えた密度汎関数強結合法(DFTB3)を用いてこの手法の有用性を示し、イオン液体(IL)のナノ構造の解明に応用した。さらに、ILの構造や安定性を予測したり理解したりするのに、DFTB3は信頼度が高く効率のよい量子化学的手法であることを示した。[EMIM]^+[NO_3]^-のバルクとクラスターの構造を比較することで、バルクでの物性は非常に小さなクラスター(今回は7つのイオン対程度の小さなクラスター)でも一目瞭然であるということを明らかにした。これらのことより、CrazyLegoはバルクでのシミュレーションや実験に頼ることなく、実用的な応用に向けて、正確でありながら効率よく可能性のあるILのスクリーニングを可能にした。 b)アディコート博士は分散項補正を加えた近似的な密度汎関数法(DFT)や二次のメラー・プレセット(MP2)波動関数法を基にして、確率的に探索する手法を開発した。これは、メタン二量体やベンゼン二量体と同様に、フェニルアセチレン二量体の低エネルギー異性体を発見することを目的としている。 分子クラスターのエネルギー面の確率論的探索は、三次の補正項を加えた無撞着密度汎関数結合法(DFTB3)という、計算コストを抑えながら分散項を加えることができる手法を用いて行われ、エネルギー的に低い分子クラスターの構造を同定した。これらの構造はMP2/cc-pVTZ法で再び構造最適化され、さらに完全基底を用いたCCSD(T)法で一点相互作用エネルギーを評価した。我々は局所応答分散補正を組み合わせた長距離補正汎関数(LC-BOP+LRD)の結合エネルギーはπ電子重なり構造やCH-π構造に対してCCSD(T)/CBSの結果から1kJ/mol以下のずれであることを確認した。
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Research Products
(3 results)