2010 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンドギャップ半導体材料・デバイスの照射効果に関する研究
Project/Area Number |
10F00802
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大島 武 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOHNSON Brett 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | ダイヤモンド / 炭化ケイ素(SiC) / イオン注入 / 電子線照射 |
Research Abstract |
半導体中の欠陥中心の持つスピンを利用した量子コンピューティングの実現へ向けた、より発光特性の優れた量子ビット探索を行うための試料を作製するため、ダイヤモンド(IIa)及びn型の六方晶炭化ケイ素(4H-SiC)に、酸素及びクロムイオンを注入した。 イオン注入条件の最適化を図る評価を行うため、異なる照射量、温度条件でのイオン注入を行った。酸素イオンは、室温にて120keVのエネルギーで1.5x10^<11>~1.5x10^<13>/cm^2のフルエンス範囲で打ち込んだ。一方、クロムイオンに関しては、室温または1000℃で1x10^<11>~1x10^<13>/cm^2のフルエンス範囲の注入を行い、注入エネルギーに関しては、酸素イオンの侵入深さと同程度となるように300keVとした。また、欠陥生成に及ぼす結晶中の酸素の効果を調べるため、同一の試料でクロムのみの注入領域と、クロムと酸素の共注入を行った領域を形成した。 イオン注入後、試料に対して真空中で1000~1650℃の範囲で、30分から1時間の熱処理を行った。1650℃熱処理では、SiC表面の結晶性が劣化することが懸念されるので、熱処理に際しては、キャップ層として表面に炭素膜を施し、表面荒れの発生を防いだ。 更に本研究では、効率的な欠陥形成技術の開発を狙い、4H-SiCに2MeVのエネルギーを有する電子線を照射した。照射温度は室温とし、1x10^<13>~1x10^<17>/cm^2のフルエンス範囲での照射を行った。 今後、作製した試料に対し、ラマン分光やフォトルミネッセンス測定を行い、結晶性を評価するとともに、共焦点顕微鏡観察等での単一フォトン測定を行う事で、量子コンピューティングに応用可能な単一欠陥の探索を行う。
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