2011 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンドギャップ半導体の材料・デバイスの照射効果に関する研究
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10F00802
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大島 武 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOHNSON Brett 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | ダイヤモンド / 炭化ケイ素(SiC) / イオン注入 / 電子線照射 / シリコン / ゲルマニウム / 固相エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
半導体中あ欠陥中心の持つスピンを利用した量子コンピューティングの実現へ向けた、発光特性の優れた欠陥探索及び効率的欠陥生成技術の確立のため、ダイヤモンド及びn型の六方晶炭化ケイ素(4H-SiC)に、酸素及びクロムイオン注入、または、電子線照射を行った。 量子コンピューティングのための発光中心として有望視されるNV(窒素-空孔複合欠陥)センターの効率的作製技術の確立に関する研究では、大量生産を視野にナノダイヤモンド(15nm及び100nm粒径)中に含まれるNを電子線照射によってNVセンターに変換する手法を試みた。ナノダイヤモンドでは、結晶中に多量に存在するダングリングボンド等が原因で、電子常時性共鳴法(EPR)を用いて、含まれるNの濃度を定量する事は困難とされてきたが、測定条件の最適化によりPlセンター(ダイヤモンドの格子位置を置換するN)の観測に成功した。2MeV電子線を室温にて照射し、1000℃の真空中で熱処理を行ったところ、P1センターが減少していくことが見出された。今後、減少したPlセンターがNVセンターに変換したかについて、フォトルミネッセンス等を用いて評価する予定である。 イオン注入により導入した不純物、照射欠陥の挙動に関する基礎的な研究として、導入した不純物が、注入後の熱処理において結晶回復にどの様に影響を及ぼすかを検討した。シリコン及びガリウム中にヒ素(As)やリン(P)、ボロン(B)やアルミニウム(Al)を導入した際の固相エピタキシャル成長(SPE)過程を評価、した。その結果、不純物を1x10^<20>/cm^3程度の高濃度に導入した場合は、SPEの増大効果が生ずることが見出され、その効果はドナーやアクセプタ不純物導入によるフェルミ準位の変化に基づいた理論で解釈できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子線及びイオン注入も予定通り行い、試料準備が順調に進んでいる。また、作製試料の欠陥評価もほぼ予定通り行っており、国際会議や論文発表といった一定の成果が挙げられているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、イオン注入及び電子線照射を行う。照射試料を熱処理後にフォトルミネッセンス、EPRやDLTSにより評価することで欠陥中心に関する情報を得て、量子コンピューティング応用への可能性を探求する。研究遂行では光学測定を行う必要があるが、保有していない装置での測定に関しては共同研究先等を活用することで効率的に進める。
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Research Products
(4 results)