2010 Fiscal Year Annual Research Report
成体マウス嗅球における新生顆粒細胞サブタイプの補償的組み込み機構の解析
Project/Area Number |
10J00007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 航志 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経科学 / 再生医学 / 成体ニューロン新生 / 嗅球 |
Research Abstract |
哺乳類の嗅球では、生涯にわたって抑制性インターニューロンである顆粒細胞が新たに生まれ、既存の神経回路へと組み込まれる。顆粒細胞群は多様なサブタイプに分化しており、これまでの私の研究により、嗅球局所領域では欠落したサブタイプの新生顆粒細胞が補償的に組み込まれることがわかった。本研究では、この新生顆粒細胞サブタイプの補償的組み込みのメカニズムを解明することを目的とし、新たに嗅球に組み込まれた顆粒細胞のシナプス形成様式を組織学的に解析する。本年度は、新たに嗅球に組み込まれた顆粒細胞を可視化した成体マウス嗅球標本の作製、および個々の顆粒細胞の画像の撮影を行った。成体マウス嗅球でmGluR2を発現する顆粒細胞サブタイプをイムノトキシン細胞標的法を用いて局所的に除去し、新生顆粒細胞をレトロウィルスベクターにより赤色蛍光タンパク質mPlumを発現させることで可視化した。あわせて、赤色蛍光タンパク質DsRed2を発現するマウスから未成熟顆粒細胞を回収し、mGluR2陽性顆粒細胞を除去した動物への移植実験も行った。mPlumで可視化され,た新生顆粒細胞と移植された顆粒細胞のいずれもが、細胞除去領域ではmGluR2を発現するサブタイプが補償的に組み込まることを示した。また、個々の新生顆粒細胞および移植された顆粒細胞のシナプス構造を解析できるよう、共焦点レーザー顕微鏡を用いて細胞の画像を撮影した。現在までの解析により、細胞除去領域では健常領域に比べて、mGluR2陽性顆粒細胞のスパイン頭部が大きくなる傾向が見られた。一方、mGluR2陰性顆粒細胞ではそのような傾向は見られなかった。今後は撮影したシナプス構造の定量的解析を進め、欠落したサブタイプの新生顆粒細胞が嗅球に補償的に組み込まれるメカニズムを考察する。
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