2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の生殖器官における新規ペルオキシソーム機能の解明
Project/Area Number |
10J00009
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
後藤 志野 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / ペルオキシソーム / apm変異体 / タンパク質輸送 / 花粉 / 生殖機構 / 蛍光タンパク質 / PEROXIN (PEX) |
Research Abstract |
本申請は生殖研究の視点からペルオキシソーム機能に着目した分子レベルでの解析を目的としている。平成22年度は、顕著な花粉稔性低下を示すT-DNA挿入系統・APM9欠損変異体(apm9-2)の解析を中心として研究を進めた。apm9-2変異体において花粉のペルオキシソームを可視化し受精過程における花粉ペルオキシソームを観察可能な系を確立した。apm9-2の花粉ではペルオキシソームの存在が認められず、このことから花粉においてもAPM9がペルオキシソームの形成に重要であることが明らかとなった。続いて、ショ糖を含む花粉発芽培地を用いるin vitro系と柱頭に花粉を付着させ花粉管伸長を観察するin vivo系の条件検討を行い、apm9-2花粉の花粉管伸長能力を確認した。in vitro系において、apm9-2花粉は正常な発芽と花粉管伸長を示した。この結果より、apm9-2花粉が正常に成熟し、さらに花粉内のペルオキシソームは花粉成熟には関与しないことが示唆された。一方でin vivo系ではapm9-2花粉で伸長率の低下が認められた。興味深いことに、ペルオキシソームは種子発芽過程で、種子貯蔵脂肪をショ糖へと代謝する機構に大きく関与している。花粉粒は多量の脂肪を蓄積しており、種子発芽過程と同様に、この脂肪がペルオキシソームで代謝されて花粉管伸長に要求される糖類を供給しているという可能性は否定できない。これらの点は未だ報告がなく、ペルオキシソーム研究においても、生殖研究においても新規の知見であり、今後の解析が期待されると考えられる。平成23年度ではペルオキシソームと花粉管伸長メカニズムの関連性について解析を進める。
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