2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 一樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アレン / 相間移動条件 / アルキル化 / 不斉反応 / 位置選択的 / 炭素四置換 / 不斉触媒 / 軸不斉 |
Research Abstract |
軸不斉を有するアレン化合物は合成中間体として高い汎用性が知られているが、その不斉合成法の報告は数が限られていた。その中申請者は、相間移動条件での不斉アルキル化反応を主軸に置き、比較的穏和な条件で骨格の多様性を持った光学活性アレンを合成することを目的とし本研究課題に着手した。 今年度申請者はまず、相間移動条件での5-アルキニル-1,3-ジオキソラン-4-オンの不斉アルキル化反応の開発に取り組んだ。検討の結果、高収率高エナンチオ選択性で進行する条件の設計に成功し、その成果は学術雑誌に掲載された(Chem.Commun.2010, 46, 7593)。本反応生成物は後の変換反応により短工程で容易に光学活性アレンへと導くことができると予想されることから、現在その反応条件最適化を行なっている。 加えて申請者は光学活性アレン合成への別のアプローチとして、相間移動条件におけるアレン1,3-ジカルボキシレートの不斉アルキル化反応を着想した。本反応が実現すれば、炭素四置換アレンの触媒的不斉合成の初めての例となる。本反応では、触媒によりエナンチオ選択性と反応位置選択性を同時に制御しなければならないため当初条件検討は難航を極めたが精力的な基質・触媒検討の結果、目的の炭素四置換光学活性アレン化合物を単離収率59%、70%eeで得ることに成功した。今後も更なる検討が必要ではあるが、この成果も学術雑誌に投稿する価値のあるものになり得ると考えられる。また、基質としてアレン1-アミド-3-カルボキシレートを用いた場合においても同様にアルキル化反応が進行し、目的の四置換アレンを与えることを確認している。本基質についても同様に不斉アルキル化反応が達成できれば、反応後変換の多様性をより高めることが期待できる。
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Research Products
(3 results)