2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須原 唯広 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子核構造 / 中性子渦剰核 / 分子動力学 / C同位体 |
Research Abstract |
前年度までに開発した四重極変形度拘束反対称化分子動力学と生成座標法を組み合わせた手法、β-γ拘束AMD+GCM、を構造が未知である原子核^<14>Cの研究を行なった。この手法は変形度に拘束をかけた変分を行なうことによりシェルモデル構造からクラスター構造までの波動関数を得、それらを重ね合わせて原子核の様々な構造を記述する、という手法である。特に3体以上のクラスター構造に関しても、パラメータγに応じて様々な空間配位を記述できるようになっている点が優れている。 ^<14>Cは^<12>Cに2つの余剰中性子が加わった中性子過剰核であり、^<12>Cの類推から、クラスター構造とシェルモデル構造の共存によって様々な構造が現れることが期待できる興味深い原子核である。結果として、我々は^<14>Cの基底状態がシェルモデル構造を持ち、励起状態では、正三角形配位を持つ3αクラスターの周りで余剰中性子が分布した非軸対称な構造が二つのバンドを構成することと^<10>Be+α相関を持つリニアチェイン構造が回転バンドを構成することを発見した。特に3αクラスターのリニアチェイン構造が余剰中性子により安定化するというのはこの研究で初めて指摘されたことであり、興味深い結果であるといえる。 また、C同位体(^<12>C、^<13>C、^<14>C、^<16>C)におけるBe+α相関をもったリニアチェイン構造の性質を拡張した分子軌道模型を用いて調べた。拡張した点は二つで、直線に並んだ3αクラスターが非対称な配位を撮れるようにした点と余剰中性子間の相関を陽に取り入れた点である。結果として、パリティ射影が3α系に非対称な2α+α構造を引き起こし、その非対称な3α系が作る平均場が余剰中性子の局在化を引き起こし、結果としてBe+α相関が現れることが分かったこの結果は論文にまとめ、現在投稿中である。
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Research Products
(5 results)