2011 Fiscal Year Annual Research Report
高強度合金の低温疲労において形成する転位下部組織と応力集中のモデル化
Project/Area Number |
10J00088
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
盛田 元彰 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内部疲労破壊 / 高サイクル疲労破壊 / Taylor理論 / α-Ti合金 / 高強度オーステナイト鋼 |
Research Abstract |
代表的な高強度金属材料において観察される内部疲労破壊について、これまでの研究をまとめ、モデルを発展させた。また、耐疲労破壊設計指針を提案した。 繰返し回数が増すにつれて、ある部位の局所応力(内部応力場)が大きくなり、それを解放するために新たな塑性変形、あるいは割れが生じる。実験と解析結果より、引張内部応力場は{0001}上に蓄積容易であると分かった。その方位は起点部として報告されている結晶面と一致する。一方、せん断内部応力場は、起点部と報告されている{0001}面上ですべり集中を誘起し、転位を導入する。以上の結果から微小き裂は、特定のすべり面上に導入されるすべり集中(転位群=欠陥)を局所的な引張内部応力場が開口応力することにより生じると指摘した。 転位列長さが長くなるほど、局所応力は大きくなる。そこで、堆積長さを短くして、局所応力の最大値を小さくするために、加工熱処理による結晶粒の微細化をnear-α型Ti合金のモデル材に施した。ただし、加工材は繰返応力軸方向に{1010}垂直方向が配向した集合組織を有する。モデル材と加工材の疲労特性を293Kと77Kで評価した結果、293Kで、モデル材と比較して加工材の高サイクル疲労強度は約10%上昇した。一方、77Kでは高サイクル疲労強度は向上しなかった。77Kで破断した試験片の内部疲労き裂発生点は、同一結晶面で割れた結晶粒{1010}が集合しており、集合組織の影響を反映している。したがって、局所応力集中低減による微視割の抑制のみならず、微小き裂の進展を阻害することも必要である。内部疲労き裂発生を回避して高サイクル疲労強度向上を図るには、マクロスケールでの塑性変形の均一化を得るように転位の堆積長さを短くする結晶粒の微細化の他に、集合組織の影響のない結晶方位のランダム化が求められる。
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