2011 Fiscal Year Annual Research Report
結晶場基底状態に軌道自由度を持つ希土類化合物に出現する部分成分磁気秩序の解明
Project/Area Number |
10J00093
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
眞田 直幸 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 物性物理学 / 希土類化合物 / 部分成分磁気秩序 / 弾性定数 / 四極子間相互作用 / 相互作用の競合 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
1, TbRhIn_5の大型単結晶育成及び弾性定数測定 TbRhIn_5の大型単結晶の育成に成功し、これを用いて弾性定数測定を行った。その結果、TbCoGa_5やDyRhIn_5では弾性定数C_<44>にソフト化が観測されたのに対して、TbRhIn_5では1.8KまででC_<44>のソフト化が観測されなかった。 2, TbRhIn_5、DyRhIn_5の極低温磁化測定 TbRhIn_5、DyRhIn_5について、東京大学物性研究所榊原研究室との共同実験で極低温領域の磁化測定を行った。これにより、TbCoGa_5、TbRhIn_5、DyRhIn_5ではそれぞれ基底状態で異なる磁性を示すことが明らかとなった。 3, NdB_4の弾性定数測定 本研究室の学部4年生と協力し、NdB_4の弾性定数測定を行った。NdB_4では他の部分成分磁気秩序系と中間相での磁気秩序方向が異なるため、弾性定数C_<44>のソフト化が観測されないことが期待されたが、実際にはC_<44>が大きくソフト化するという結果を得た。この結果はこれまでの部分成分磁気秩序に対する解釈に大きな影響を与えうるものであると認識している。 23年度は主に以上の点について研究の進展があった。本研究の目的である希土類化合物の部分成分磁気秩序の解明へ向けて非常に重要な情報を得ることができたと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画に対して、年度を先取りして進めている部分もあるが少し遅れが出ている部分もある。24年度までに研究計画を達成するという観点から見ればおおむね順調に遂行できていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載した事項は変更せず達成することが、依然本研究の完成には必要である。したがって、TbRhIn_5及びDyRhIn_5の磁場中弾性定数測定、各部分成分磁気秩序物質についてパルス強磁場を用いた強磁場磁化測定、中性子線回折による磁気構造の決定を進めていく。さらに、TbRhIn_5及びDyRhIn_5については1.8K以下の極低温領域での物性測定が不可欠であることが明らかとなったため、極低温磁化、比熱、弾性定数を中心に各種物性測定を進める。以上の計画については、本研究室で実現可能な環境および共同研究の形で推進していく準備がほぼ整っており、実行にあたって十分に見通しが立っていると考えている。
|
Research Products
(7 results)