2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の大規模構造を用いた暗黒エネルギー及びインフレーションの研究
Project/Area Number |
10J00181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西道 啓博 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 暗黒エネルギー / インフレーション / 宇宙の大規模構造 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
バリオン音響振動に関しては、次世代観測から得られる精密なデータとの比較に耐えられる精密な理論テンプレートの構築が目標となる。22年度は、構造の重力成長における非線形性の影響と銀河個々の持つ特異速度の影響について研究した。これまで見落とされてきた密度と速度の高次スペクトル由来の項の存在を明らかにし、これを取り入れなければ次世代観測から誤った結論を導き得ることを示した。また、重力非線形進化についてこれまで提案されてきた解析的モデル及び経験則的モデルを組み合わせ、大規模な数値シミュレーションと詳しく比較することでモデルの正当性及び適応限界を明らかにした。 また、揺らぎの非ガウス性に関する研究では、銀河団サイズの暗黒物質ハローの空間分布に関する研究を行った。高次のスペクトルであるバイスペクトルに注目し、これが原始揺らぎの非ガウス性の存在に敏感に応答することを初めて数値的に確認し、将来観測から達成可能な制限についての考察を行った。さらに、銀河団の形状や速度構造が異なると、原始非ガウス性の兆候の現れ方も異なることを発見した。 次に、多成分の原始揺らぎからなるより一般的なシナリオへとモデルの拡張を行った。大規模な数値シミュレーションを実行し、できる限り広範なモデルについて系統的に構造形成シナリオへの影響を調査した。この結果、暗黒物質ハローの空間分布において強く距離に依存したバイアスが現れること、及び、物質全体(=暗黒物質+バリオン)の揺らぎに対して大きな不確定性が現れること、の二点を一般的な結論として導き出した。
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Research Products
(4 results)