2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00204
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡邉 英博 福岡大学, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 昆虫 / 匂い情報処理 / 一次嗅覚中枢 / 糸球体 / 嗅受容細胞 / 二次嗅覚ニューロン / Odotopy / ニューロンモデル |
Research Abstract |
我々は平成22年度に発表した雑誌論文でワモンゴキブリの一次嗅覚中枢である触角葉は10のグループに分類できる205個の糸球体から構成されることを示した。この論文は"The Journal of Comparative Neurology"誌の表紙を飾るなど高い評価を受けた。本年度は嗅覚情報処理におけるこれら糸球体グループの機能的な役割を調べるための研究を中心に行なった。第一にゴキブリ触角上の嗅感覚子に内在する、嗅受容細胞の糸球体への投射パターンを形態学的に調べた。結果、ワモンゴキブリの触角葉は感覚子の種類依存的に構成されていることを見出した。ワモンゴキブリの嗅感覚子は最も基本的な嗅覚情報処理の単位であり、形態学的に異なる嗅感覚子に内在する嗅受容細胞は異なる匂い物質を処理することがわかっている。そのため、この結果はワモンゴキブリ触角葉が機能的に区画化されていることを示している。第二に、電位感受性色素を用いた光学測定を行い、各々の糸球体を構成するニューロンの匂い応答特性を実際に解析した。その結果、嗅覚情報は糸球体の時空間的応答パターンによって符号化されていることを見出した。光学計測によって得られた匂い応答パターンを、細胞内記録法で得られた単一の触角葉二次嗅覚ニューロンの匂い応答パターンと比較することにより、光学計測時のシグナルソースを同定した。その結果、光学計測では匂いに対する触角葉局所介在ニューロンの同期発火を検出していることを見出した。このことから、触角葉局所介在ニューロンは嗅覚情報の時空間的符号化において、重要な役割を果たすことが示唆された。これらの研究結果については、現在雑誌論文として投稿準備中である。
|