2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しいメタラサイクル中間体を経る触媒的脱水素クロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
10J00248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿野 勇介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭素-水素結合切断 / パラジウム触媒 / 配向基 / アルキニル化反応 |
Research Abstract |
炭素-水素結合は有機化合物に普遍的に見られる化学結合である。この結合を選択的に切断し、さまざまな新しい結合形成に利用する研究は、天然資源に乏しいわが国において効率的な化学合成プロセスの構築につながる重要な研究である。通常不活性とされるこの結合を選択的に切断・変換するため、金属触媒との相互作用が可能なヘテロ原子を複数有する配向基に着目し、その開発を行った。触媒量の酢酸パラジウム存在下、複数の配位点を持つさまざまな配向基を基質とし、アセチレン源としてブロモアセチレンを用いた直接アルキニル化反応を検討した。その結果、窒素原子を複数有する配向基が本反応の進行を促進することがわかった。特に、8-位にアミノ基を有するキノリン骨格が配向基として効果的であり、安息香酸アミド誘導体を用いた場合、良好な収率で芳香族オルト位炭素-水素結合の直接アルキニル化が進行した。反応条件の検討を行った結果、酢酸銀および酢酸リチウムの添加により反応が促進されることがわ。かった本反応の基質適用範囲は広く、クロロ基やエステル基のような反応性の高い置換基であっても損なわれることなくアルキニル化が進行する。 つづいて、同じ配向基を利用して脂肪族カルボン酸アミドのアルキニル化反応を検討したところ、添加剤に塩化リチウムを用いると、同様の触媒条件下で脂肪族カルボン酸アミドのβ-位の直接アルキニル化が良好な収率で進行した。官能基許容性は高く、アミノ酸誘導体や胆汁酸などの生物由来のカルボン酸アミドのアルキニル化が可能であり生体内分子の修飾に有効であることがわかった。 今後カップリングパートナーを末端アルキンなどの活性水素を有する化合物に替えて脱水素クロスカップリングへの展開を進める。さらに、脂肪族炭素-水素結合の変換にも本手法は有効であることから、配向基の構造を改良して不斉アルキニル化の実現に向けた検討を進める。
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Research Products
(2 results)