2011 Fiscal Year Annual Research Report
気孔の開口を駆動する細胞膜プロトンポンプの活性制御機構の解明
Project/Area Number |
10J00254
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 晋一郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 気孔 / 細胞膜プロトンポンプ / 根 / シロイヌナズナ / リン酸化反応 / 細胞伸長 |
Research Abstract |
細胞膜プロトンホンプであるH^+-ATPaseは、細胞膜を介したH^+の能動輸送を行う一次輸送体であり、二次輸送体と共役した様々な物質の輸送、細胞の恒常性維持や細胞伸長に重要な役割を果たしている。気孔開口においては、青色光に依存して孔辺細胞に発現するH^+-ATPaseが活性化され、気孔開口の駆動力を形成している。これまでの研究により、H^+-ATPaseの活性化には、自身のC末端スレオニンのリン酸化が必要であり、この活性調節機構は植物細胞を通じた共通の活性化機構であることが明らかとなっているが、このリン酸化を調節するキナーゼとホスファターゼ、また、その他の活性制御因子はほとんど明らかとなっていない。 本研究では、H^+-ATPaseの活性制御に関わる因子を同定することを目的とし、H^+-ATPaseの活性が低下した突然変異体、および、活性が亢進した突然変異体のスクリーニングを進め、これらスクリーニングが完了した。さらに、H^+-ATPaseの活性が低下したスクリーニングにおいて単離した変異体の一つE8-4変異体についてさらに詳細な解析を行った。その結果、この変異体では、H^+-ATPaseが正常に機能することが必要である低pH条件下で、根の伸長が野生株と比べ顕著に阻害されていた。また、興味深いことに、この変異体の根では、H^+-ATPaseの発現量には差が見られないものの、通常のpH条件下において、野生株に比べてH^+-ATPase活性、および活性化に必須のスレオニンのリン酸化レベルが顕著に低下しており、この変異体では常にH^+-ATPase活性が低下していることが明らかとなった。現在、E8-4変異株の原因遺伝子の同定に向けてマッピングを進めており、ほぼ、原因遺伝子が同定できた状況にある。今後、原因遺伝子の機能解析を進め、H^+-ATPaseの活性調節の分子機構を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたH^+-ATPase活性が亢進した突然変異体のスクリーニングを完了することができた。さらに、単離した一つの突然変異体の原因遺伝子の同定をほぼ完了し、新奇の活性調節機構の存在が明らかとなったため。今後、原著論文として報告を速やかに行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
一連のスクリーニングで単離した突然変異体の原因遺伝子の同定とその機能解析を進めていく。マッピングによる原因遺伝子の同定では、対象個体にH^+-ATPase活性以外の視覚的な表現型が付随している場合は、比較的スムーズに原因遺伝子を同定することができるが、H^+-ATPase活性のみに表現型が見られる場合、マッピング・ポピュレーションの単離が難しい場合がある。今後、マッピングに変わって、次世代シークエンサーによる原因遺伝子の同定法を取り入れることができれば、スムーズにその同定が進むと考えられ、次世代シークエンサーによる原因遺伝子の同定を行う共同研究先を検討している。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] FLOWERING LOCUS T regulates stomatal opening2011
Author(s)
Kinoshita T, Ono N, Hayashi Y, Morimoto S, Nakamura S, Soda M, Kato Y, Ohnishi M, Nakano T, Inoue S, Shimazaki K
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Journal Title
Current Biology
Volume: 21
Pages: 1232-1238
DOI
Peer Reviewed
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