2011 Fiscal Year Annual Research Report
企業の環境経営における意思決定と経済効率性への影響
Project/Area Number |
10J00285
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 秀道 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境生産性 / 環境経営 / クリーナープロダクション / エンドオブパイプ / Directional Distance Function / 製造業企業 / 限界削減費用 / 環境イノベーション |
Research Abstract |
本研究課題は、持続可能な発展を達成する上で不可欠な環境と経済の両立において、経済的価値の源泉であるとともに環境負荷の発生源である企業の役割について環境経営と生産性に着目して検討したものであり、経営学と経済学を融合させることを目指した独創的な研究である。研究実施二年目の本年度は、昨年度に構築した企業のデータベースを用いて、生産性分析を中心に研究を行った。本年度の研究実施状況とその成果を下記三点にまとめる。 1.日米製造業企業の毒性化学物質を考慮した生産性を推計し、生産性の推移を考察した。さらに、国内及び国外の化学物質規制の公布・施行の時期に生産性がどのように変化しているかに着目し、環境規制と生産性の因果性についての考察を行った。研究成果は、Journal of Cleaner Productionに査読付き論文として公表している。 2.国内製造業を対象にCO2排出量及び化学物質を考慮した生産性の推計を行い、特に揮発性有機化合物(VOC)に着目した分析を行った。2006年の大気汚染防止法の改正に伴い、VOC排出量の規制が定められたことから、この規制が製造業企業に対してどのような影響を与えたのかに焦点を当て、分析を行った。研究成果は計画行政に査読付論文として公表している。 3.途上国企業に焦点を当て、インドネシアの配電企業の生産効率性と、電気料金の補助金制度についての分析を行った。分析手法には、Data Envelopment Analysisを適用し、生産非効率性がどのような企業特性及び外部要因によって影響を受けているかを明らかにした。研究成果はJournal of International Development and Cooperationに査読付き論文として公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に構築したデータベースを利用し、日米企業の環境汚染物質を考慮した生産性分析に着手し、Directional Distance Function及びData Envelopment Analysisを適用することで製造業企業における環境経営と生産性の関係を明らかにした。本年度の主な研究成果は、査読付国内論文5編、査読付国際論文4編、国内学会発表3件、国際学会発表1件であり、予想以上の成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は、米国企業データセットの作成を行い、日本、中国、米国における企業の環境経営と生産効率性についての実証分析を行う。これらの分析結果をもとに、企業の環境経営が生産効率性を向上させる影響を説明し、途上国企業が環境経営に取り組むためのインセンティブを提示する。
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Research Products
(18 results)