2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00350
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森津 学 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハイパー核 / ストレンジネス / J-PARC |
Research Abstract |
本研究(J-PARC E05実験)は^<12>C(K^-,K^+)反応によるΞハイパー核分光実験である。 今年度のビームタイムでは、まだK中間子のビーム強度が十分でないためπ中間子を用いた実験(J-PARC E19:ペンタクォーク探索実験)をJ-PARCハドロン実験施設の初めての物理実験としておこなった。使用するビームの種類が異なるが、どちらの実験も同様にJ-PARCK1.8ビームラインとSKSを用いたミッシングマス分光実験であり、使用する検出器も多くが共通している。E19実験を成功裏に終えたことはこのシステムの健全性を証明しており、本実験(E05)に向けて非常に弾みがついた結果となった。 加速器の一次ビーム強度は目標値の100分の1であったが、K中間子を用いた実験をおこなうための予備試験として現時点でのK中間子のビーム強度を実測した。時間的制約から十分なチューニングをおこなうまでは至らなかったが、現時点でも最大で4.5x10^4/spill程度のK中間子強度が出ていることを確認した。また今回から新たにビーム中のK/πを分けるための検出器としてエアロゲルチェレンコフ検出器(BAC)を導入した。π中間子に対する検出効率、K中間子の誤認率ともに概ね期待通りの結果を得た。 またJ-PARCの加速器の強度がすぐには目標値に達しないため、近い将来を想定してデザイン値の1/10程度(30kW相当)のビーム強度でもΞハイパー核分光実験が実現できる可能性について検討した。具体的には、SKS+ではなくSKS単体で使うことにより立体角を増やし収量を稼ぐ。分解能に関してもわずかな悪化はあるものの許容範囲内の分解能が実現できる見込みである。これらの検討をシミュレーションを用いて評価した。E05実験としてはまずこの30kW相当のビーム強度で実験を開始し、できるだけ早期に物理的結果を出したいと考えている。
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Research Products
(4 results)