2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J00350
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森津 学 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ハイパー核 / ストレンジネス / J-PARC |
Research Abstract |
本研究(J-PARC E05実験)は12C(K-,K+)反応によるΞハイパー核分光実験である。 本研究は茨城県東海村の大強度加速器研究施設J-PARCのハドロン実験施設においておこなっている。昨年度末におこった東日本大震災において施設は被災し、加速器は停止状態となった。建物の損壊や地面の陥没だけでなく加速器を構成する電磁石の位置が大幅にずれ、すべての電磁石を再設置するだけで半年以上の歳月を要した。本実験に用いる基盤装置である300トンの超伝導電磁石SKSも地震により数cm移動し、周囲の検出器群も含めてすべて一旦取り外し再設置することを余儀なくされた。幸い加速器は昨年末に震災から1年を待たずに再稼働することに成功した。実験に使用している検出器群も懸命の復旧作業により何とか震災以前の状態に戻すことに成功し、2月には震災後初のビームタイムを迎えることができた。 加速器のビーム強度は3.3kWと震災前と同程度の強度を達成したがK中間子ビームを用いたE05実験をおこなうにはまだ不十分であったため、π中間子ビームを用いたペンタクォーク探索実験(J-PARC E19)をおこなった。私は現場責任者として震災の復旧作業に引き続き具体的な実験の計画立案や現場作業の指揮をおこなった。震災前の1stランと同程度の統計量のデータを取得し同程度の分解能を達成していることも確認できている。これにより東日本大震災という未曽有の天災にも関わらず、わずか1年で震災前の状態まで完全に復旧させることができた。 今年度震災からの完全復旧を果たすことができたことにより、来年度は加速器の強度さえ目標値に達すればいつでも本実験をおこなえる状態まできた。
|
Research Products
(2 results)