2010 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム/リチウム複合錯体によるカルボニル化合物の不斉シアノシリル化
Project/Area Number |
10J00370
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
植村 真人 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ルテニウム / リチウム / 不斉シアノシリル化 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
官能基化されたケトン類の不斉シアノシリル化 光学活性シアノヒドリン誘導体は医薬合成の優れた中間体であるため、その効率的供給法の開発が切望されている。中でもα-ケトエステル類やケトアセタール化合物の不斉シアノシリル化反応は、得られた生成物が高度に官能基化された第3級の光学活性アルコール誘導体であり、多彩な構造をもつ生理活性物質合成への展開も期待される。 報告者は独自に開発した光学活性ジホスフィンBIANPとアミノ酸を配位子とするRu錯体とリチウム塩からなる触媒系を用い、官能基化されたケトン類の高エナンチオ選択的シアノシリル化を達成した。以下に概要を示す。 (1)α-ケトエステル類の不斉シアノシリル化反応の開発 BINAPとフェニルグリシンを配位子とするRu錯体とリチウムフェノキシドから調製される触媒を用いて種々の検討を重ねた結果、基質/触媒=10,000、-50℃の条件下、ベンゾイルギ酸メチルはシアン化トリメチルシリルとすみやかに反応し、対応するシアノヒドリンシリルエーテルが単離収率98%、98%eeで得られた。また、脂肪族ケトエステルやβ,γ-不飽和ケトエステルを基質とする反応においても、高収率、高エナンチオ選択的に目的生成物を得た。 (2)ケトアセタール化合物の不斉シアノシリル化反応の開発 BINAPと側鎖がアルキル基のアミノ酸を配位子とするRu錯体が極めて高いエナンチオ選択性を示すことが分かった。例えば、α,α-ジメトキシアセトフェンを基質として用いると、光学活性シアノヒドリンシリルエーテルが99%eeで定量的に得られた。
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Research Products
(4 results)