2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム触媒による炭素-ケイ素結合の切断を経るシロール合成反応の開発
Project/Area Number |
10J00371
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾上 晶洋 九州大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロジウム / ボロン酸 / シロール / 炭素-ケイ素結合切断 / 不斉ケイ素化合物 |
Research Abstract |
本研究では、これまでにわれわれが見出した「ロジウム触媒による炭素-ケイ素結合切断を経るシロール合成反応」という新たな手法を用い、従来合成が困難とされていた新しいシロール骨格の構築を目的としている。本年度はその中でも特に、不斉ケイ素中心を有するキラルシロール合成反応の開発について取り組んだ。原料であるボロン酸誘導体、ロジウム触媒前駆体、キラル配位子や溶媒およびその他の添加剤について種々の条件を検討したところ、配位子としてQuinoxP^*と呼ばれるキラルホスフィン配位子を用いることにより、60%と中程度の収率ではあるものの、98%の鏡像体過剰率という高い立体選択性をもって目的とするキラルシロールが得られることが分かった。この結果は、「ロジウムによる炭素-ケイ素結合の切断」というわれわれのオリジナルな反応の特長が十二分に生かされたものである。このような第四級ケイ素中心を構築する触媒反応はこれまでに報告例の無い新しい反応であり、類似の量論反応と比較しても、立体選択性および官能基許容性の面で優れている。さらに、今回合成した第四級不斉ケイ素中心を持つシロール骨格は、強塩基性条件を必要とする従来の方法論では合成ができない全く新しいシロール骨格である。シロール誘導体は、有機材料化学の分野において有機ELや太陽電池のような素子のビルディングブロックとして注目されている。今回新規に合成したキラルシロール骨格は、これまで用いられてきた光学活性を持たないシロールには無い新しい物性を示す可能性を持っており、特に固体状態で蛍光発光を示すことから、円偏光発光材料への応用が期待できる。
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Research Products
(4 results)